「バイオマスの地域循環利用システム化技術の開発」について

農業工学研究所資源循環研究室 柚山義人(yuya@affrc.go.jp)
(農林水産バイオリサイクル「システム化サブチーム」リーダー)

 農林水産省農林水産技術会議事務局では,バイオマス利用技術開発のプロジェクト研究として「農林水産バイオリサイクル」を実施している。 このプロジェクトは,第2期科学技術基本計画において国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点4分野の1つである「環境分野」に該当し,総合科学技術会議の分野別推進戦略においては,「ゴミゼロ型・資源循環型技術研究」イニシャティブに登録されている。 同プロジェクトでは,平成15年度から3年間の予定で「バイオマスの地域循環利用システム化技術の開発」に着手している。この新規課題は,上記イニシャティブの「循環型社会創造支援システム開発プログラム」に位置付けられる。研究担当は,「システム化サブチーム」である。

 バイオマスについての関心は,極めて高くなってきているが,多くの情報は断片的であり,信頼性を判断しにくい面がある。これから各地において,バイオマス利活用のための施策が進められることと思われるが,環境負荷や財政負担に配慮しつつ,建設した再資源化施設を有効に活用していく必要がある。

 このため,本研究では,まず,1〜数市町村という地域レベルを対象にバイオマス資源の循環・利用に係わるビジョン策定を支援するツールを開発する(パネル−1参照)。 地域の実態を物質循環の観点からできるだけ正確に見極めるための解析ソフト(パネル−2参照)を開発し,地域の中で想定される再資源化技術の選定・組み合わせ,循環の対象範囲など新たな循環シナリオを検討し合意形成を図る上で必要になる複数の案の評価法を提供する。 想定される新たな循環シナリオ案の評価については,再生資源の需要量,経済性,環境への影響,エネルギー収支,安全性等の面から行う(パネル−3参照)。 一方,国家レベルでの戦略構築のためには,国レベルでのバイオマス資源循環実態を把握しておく必要がある。これについても,同時並行で取り組んでいく。

 この研究へは,多くの独立行政法人,大学,民間が参画しており(パネル−1参照),力を合わせて,少なくとも農林水産分野の代表となる地域診断システムを作り上げ,地方公共団体の担当者を始めとする多くの方に使っていって頂きたいと考えている。 そのためには,信頼できる情報の収集が不可欠であり,行政部局,研究機関,民間でまとめられた情報や研究成果を集積し,再整理していく必要がある。情報の共有化を促進するため,「バイオリサイクル・インフォメーション・キャビネット(BIC)」を立ち上げる。 また,真に使っていただける解析ソフトを開発するためには,できるだけ多くのユーザーに試行頂き,改善を加えることが望ましい。2003年末までには解析ソフトの試作版を完成させ,説明会・講習会を開催することにしている。また,研究成果は,責任ある管理体制のもとWeb等で公開したいと考えている。

 本研究の推進に当っては,バイオマス・ニッポン総合戦略プロジェクトチーム,農林水産省,研究機関,地方自治体など数多くの機関と連携していく予定である。

プロジェクト研究成果シリーズ466:農林水産バイオリサイクル研究 施設・システム化チーム

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