イネ 白葉枯病 (Bacterial leaf blight)

病原:Xanthomonas oryzae pv. oryzae (Ishiyama 1922) Swings, Van den Mooter, Vauterin, Hoste, Gillis, Mew & Kersters 1990
(旧学名:Xanthomonas campestris pv. oryzae (Ishiyama 1922) Dye 1978)

病徴:葉の病斑は葉縁にそって基部方向に拡大し,黄色〜橙黄色となり,のちに白色〜灰白色で葉縁に沿って長く波形に伸びた大きな病斑となる。葉先の縁から,葉脈に沿って周縁不鮮明な長い黄色の条斑となることもある。激しい場合には葉全体が灰白色になって枯死する。
品種によっては移植後間もなくして葉が萎ちょうし,株全体が「ずり込み」症状を示し腐敗枯死することがある。このような症状を急性萎ちょう型症状あるいはクレセック症状ともいい,インド型品種で発生しやすい。
葉鞘の病斑は中肋に沿って拡大し,はじめ黄緑色〜灰緑色,のちに黄色の条斑となる。激発田では,もみに蒼白色浸潤状の病斑ができる。出穂直後にひどく侵されるともみ全体が蒼白色に萎ちょう枯死して不稔となる。

伝染:水辺雑草であるサヤヌカグサあるいはエゾノサヤヌカグサの被害葉上,地下茎,根圏土壌中で越冬した病原細菌が翌春そこで増殖し,本田へ運ばれ,第1次伝染源になる。
白葉枯病菌のイネへのおもな侵入門戸は葉や葉鞘などにできた傷,気孔,水孔,および根が出るときにできる茎基部の傷などである。第2次伝染は下葉から感染・発病し,風雨あるいは接触によってしだいに上位葉や隣接株へ広がっていく。
また,台風や集中豪雨,あるいは浸冠水すると一気に水田全面にまん延する。常発地は浸冠水しやすい河川,湖沼などに沿った場所,あるいは低湿地,湿田地帯である。高温・多雨,窒素の多用は発病を助長する。

防除:常発地では抵抗性品種を利用する。育苗期間中の降雨等による浸冠水を避け,畦畔付近のサヤヌカグサを除去する。窒素多用を避ける。防除薬剤としては,サンケル粉剤,シラハゲン粉剤Sおよびオリゼメート粒剤の効果が高い。
散布時期は,散布剤は発生の急増直前,粒剤は散布剤より1週間から10日前が適期となる。

参考: 白葉枯病 - 日本植物病名データベース

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