ハクサイ軟腐病

病原:Erwinia carotovora subsp. carotovora (Jones 1901) Bergey et al. 1923
病徴:葉,葉柄に発生し,初め水浸状となり,後に軟化し灰褐色となり悪臭を放つ。結球前に発生した場合,株全身で軟化し崩壊する。結球時に発生した場合には葉柄の基部が淡褐色に腐敗し軟化する。
伝染:本病菌は土壌中で生存し傷口から侵入する。 宿主植物の根圏土壌で生存する細菌はハクサイの傷口から侵入し,菌濃度が1ミリリットルあたり100万CFU以上になると発病する。 発病には温度と湿度が関係し,夏期高温時(8〜9月)に播種したハクサイに発病が多い。 晩秋から冬にかけて温暖で,生育初期に多雨の場合に発生が多い。低湿地では多発する。本病に感染したハクサイは輸送中に病状が進行し,大きな被害を与えることがある。傷の原因となるキスジノミハムシ,ヨトウムシ,モンシロチョウなどの害虫を防除する。
防除:本病は土壌伝染性病害のため,被害残渣の処理など圃場の衛生管理につとめ,イネ科,マメ科作物などとの輪作を行う。 特にダイコンなどのアブラナ科などとは連作しない。 本病菌は乾燥に弱いので高畦など圃場排水に気をつけ,雨天の収穫は輸送中の腐敗の原因になる場合があるので行わない。 中耕除草やその他耕地管理に際し株を付傷しないように注意する。 また,キスジノミハムシ,ヨトウムシ,モンシロチョウなどの食害痕を防ぐ薬剤はストレプトマイシン剤(製品により単位が違うので注意),メルクデランK水和剤や銅水和剤を予防的に散布する。なお銅水和剤は薬害を生じやすいので幼苗期,高温時の散布は避ける。

参考: ハクサイ 軟腐病 - 日本植物病名データベース