イネ 褐色葉枯病

病原:Metasphaeria albescens Thuemen
病徴:葉ではごま葉枯病病斑に似た褐色の斑点と重なって波状に広がる大型病斑を生ずる。斑点型病斑は楕円形あるいは長紡錘形の病斑となる。大型病斑(雲形病斑)では,雲形あるいは雲紋状となる。 葉鞘では,紫褐色の長楕円形で周縁不鮮明な病斑を生じ,大型不正形病斑となり,葉鞘全体を取り巻くようになる。みごおよび穂軸では,紫褐色の周縁のぼやけた,やや長い微細な病斑を生じ,のちに全体が淡紫褐変ないし暗紫褐変するが,病状は軽い。 本病の大型病斑,雲形病斑は,本病特有である。斑点型病斑の特徴は,周縁が不鮮明である。
伝染:病原菌は被害わらや畦畔雑草の枯葉上で越冬し,翌春から夏にかけて降雨にあうと,それらの上に分生子や子のう胞子を形成し,風雨によって飛散して本田のイネに達する。褐色葉枯病菌のイネへの侵入・感染には水滴と適当な温度が必要である。 侵入・感染の適温は25度付近にあるが,15度付近の低温でもよく侵入・感染する。窒素肥料の多施用は発生を助長する。発病は追肥時期にも影響され,減数分裂期の追肥がとくに発病を増加させる傾向が強い。珪カル等の珪酸資材の施用は発病を抑制する。
防除:窒素肥料の多用は発生を助長するので肥培管理に注意する。本病に対し,有効な薬剤はヒノザン粉剤25DL,同乳剤30の穂ばらみ期頃からの2〜3回の散布である。 

参考: 日本植物病名データベース