イネ にせいもち病

病原: Alternaria oryzae Hara

病原: Epicoccum purpurascens Ehrenberg ex Schlechtendahl
病徴:玄米の表面に紅色ないし紅赤色,ときに赤褐色で円形,雲形,長形等不正形の周縁明りょうな病点を生ずる。もみの症状で見分けることは困難であるが,玄米に紅色の斑点を生ずる病気はほかにない。
伝染:前年の刈り株,野外に放置された被害わら,畦畔のイネ科雑草の枯死葉等の上で越冬し,第1次伝染源となる。翌年春から夏にかけて,それらの上で増殖し,分生子を形成する。 これが飛散し直接出穂中のもみに達する経過と,いったんイネの枯れた下葉で増殖し,そこで形成された分生子が飛散して,出穂開花中の穎内に落下し,玄米を侵す。発生は気象条件と密接な関係があり,出穂期以降の低温が必須条件である。
防除:耕種的防除法としては,抵抗性品種の導入,適正な肥培管理をを行うことが重要である。収穫は適期に迅速に行い,収穫後は速やかに乾燥する。防除薬剤は,ラブサイドベフラン粉剤の穂ばらみ期〜穂揃期の散布が有効である。

病原: Cladosporium herbarum (Persoon) Link ex Gray

病原: Pseudocochliobolus lunatus (R.R. Nelson & F.A. Haasis) Tsuda, Ueyama & Nishihara
病徴:玄米では,多くの場合全面が淡褐色ないし暗褐色に変色し,果皮の表面に黒褐色の微細な斑点が多数現れる。褐色米が検出されるもみの症状は多様で,褐色米ともみの症状との関係を特定することは困難である。褐色米の場合には黒褐色の微斑点が多数現れるのが特徴である。
伝染:褐色米の第1次伝染源は戸外に放置された稲わらや水辺雑草の枯葉上に形成された菌糸や分生子である。本田期イネの枯れた下葉に形成された分生子あるいは畦畔雑草の枯葉上に形成された分生子が飛散し,出穂後とくに開花中の穎内に落下し,発芽して侵入・感染する。 7,8月の気温が高く,多照で降雨が少ない場合に発生しやすい。フェーン現象があると発生がいちじるしく助長される。本田初期に生育が良く,後期に凋落するようなイネでは褐色米が発生しやすい。      
防除:耕種的防除法は,適正な肥培管理や土壌改良を行い,地力を増強するとともに間断潅漑や中干しにより過繁茂を防ぎ根腐れを防止する。早期落水を避ける。畦畔雑草の枯死葉は伝染源になるので除草を行う。 防除薬剤は,ロブラール水和剤,ヒノザンロブラール粉剤,ラブサイドロブラール粉剤,ラブサイドベフラン粉剤の穂ばらみ期,穂揃期の2回散布が有効である。

参考: イネ にせいもち病 - 日本植物病名データベース