イネ 黄化萎縮病

病原:Sclerophthora macrospora (Saccardo) Thirumalachar, Shaw et Narasimhan

病徴:水苗代および移植後本田で発生する。罹病苗は葉色がやや淡く,葉幅は広く,葉面に帯黄白色の小さな楕円形あるいは円形の退色部がかすり状に散生し,のちに腐敗,枯死する。 本田でも病葉は黄化し,白いかすり状の斑点が連生し,葉は短く,幅は広くなり,いくぶん厚くなってもろい感じがする。葉先が淡黄ないし白化してねじれる。罹病株は全体が黄化萎縮する。穂は出すくみ,短く,ねじれた小さな奇形穂を抽出する。 葉鞘はややふくらんでその表面に不規則で波状のしわを生ずる。本病の特徴は葉の黄化と株の萎縮である。葉に白いかすり状の斑点ができる。降雨のあとなど,葉の表面に白い粉状物がみられる。

伝染:病原菌は多くのイネ科植物に寄生し,第1次伝染源は畦畔に自生する越年生のイネ科罹病雑草である。春になると罹病雑草上に多数の遊走子のうを形成し,その中から遊走子が放出され降雨やかん漑水等によって苗代や本田に運ばれ,感染する。 感染時期は幼芽期と分げつ期に分けられる。幼芽期は播種後3〜5日頃がもっとも感染しやすく,分げつ期では第7葉の抽出期がもっとも感染しやすい。遊走子のう形成,発芽および感染は,水温が15〜20度のときもっとも盛んで23度を越えると衰える。 このため,苗代初期や本田初期の水温がこの範囲にあると,感染・発病しやすくなる。本病は河川流域や湖沼の周辺の低湿地で発生が多い。水苗代や湛水直播では幼芽感染が起きる。

防除:耕種的防除は,罹病株を発見したらすぐに抜き取って焼却するか土中に埋没する。浸冠水をうけたらすみやかに排水する。本田が冠水し発生が予想される場合は初発生期あるいは冠水直後にリドミル粒剤2を6kg/10a水面施用する。施用後は4〜5日間止水する。 

参考: イネ 黄化萎縮病 - 日本植物病名データベース