病原:Sphaerulina oryzina Hara
病徴:本病は葉,葉鞘,みご,穂など地上のあらゆる部分を侵す。病勢は登熱がすすむにつれて激しくなる。葉でははじめ葉脈の肩の部分が暗紫褐変し,周縁がかすれた条斑となる。
葉鞘では,葉鞘の上部の葉節部に近いところに淡褐色ないし赤褐色の斑点が現れ,下方に向かって線状に拡大し,紫褐色の長い条斑となる。みごおよ穂軸では紫褐色の長い条斑となる。もみでは内外穎の縫合部に沿って紫褐色のかすれた条斑が現れる。
病斑は葉でも葉鞘,みご,穂軸でも幅0.5〜1.5mmぐらいの紫褐色の条斑となる。
伝染:病原菌は被害わらで越冬し,これが翌年の第1次伝染源となる。被害わら上に形成された分生子あるいは,子のう胞子が飛散して,本田期のイネを侵し,その病斑上に形成された分生子によって第2次伝染が行われる。早期栽培では病勢は登熱中後期から急速に増大する。
穂の発病は出穂後30日ぐらいを経過した登熱の後期である。稚苗移植,早植栽培では,普通期栽培に比べて葉および穂の発病が多い。乾田直播では播種時期が早いほど発病が多い。りん酸あるいはカリの欠乏は発病を助長する。窒素は多用が発病を助長する。
窒素施用は,減数分裂期の施葉によって発病が促進される。
防除:生育後期にリン酸やカリが欠乏すると発生しやすいので,適正な肥培管理を行う。窒素の過用は避ける。常発地では抵抗性品種を導入する。
防除薬剤は,ラブサイドベフラン粉剤,ヒノザン粉剤,同乳剤およびこれらの混合剤が有効であり,いずれもいもち病との同時防除が可能である。散布時期は穂ばらみ期,穂揃期の2回が基本となる。
参考:
日本植物病名データベース