病原:Magnaporthe salvinii (Cattaneo) Krause et Webster
病徴:葉鞘および稈の水際付近に発生する。葉鞘に黒色,長方形の小斑点を生じ,しだいに拡大して黒色不正形の大型病斑となる。病斑はしだいに内側の葉鞘にすすみ,外側の葉鞘から黄変,枯死する。罹病組織内には,光沢のある黒色,球形の小さな菌核が形成される。
稈の病斑は光沢のある黒色,紡錘形または不正形で周縁不明瞭な小斑点を生じ,しだいに拡大し,隣接病斑と融合して大型病斑となり,ついには稈全体を取りまくようになる。罹病株では稈の組織は崩壊し倒伏しやすくなる。葉鞘および稈病斑では周縁が明瞭である。
稈の黒色条斑上に小さな侵入菌糸塊が形成される。葉鞘あるいは稈の中に形成される菌核は表面に光沢があり,正球形である。小球菌核病および小黒色菌核病の病斑は黒色で,病斑は細長く,周縁は不明瞭。
伝染:菌核は被害わら,土壌中あるいは水中で長期間生存でき,第1次伝染源は罹病イネの刈り株,被害わら中および土壌中に落下した菌核である。
防除:耕種的防除は,適切な肥培管理が重要であり,窒素肥料は分肥し生育後期の凋落を防ぐ。カリによる防除効果は高く窒素と同様に分肥する。珪酸資材の施用も有効である。防除薬剤は,フジワン粒剤,ヒノザン粉剤,同乳剤,キタジンP粒剤がある。
参考:
日本植物病名データベース