病原:Gibberella zeae (Schweinitz) Petch
病原:Fusarium nivale (Fries) Casati f.sp.graminicola (Berkeley et Broome) Snyder et Hansen
病徴:幼苗期や,葉身,穂に発生するが,穂の発病が最も著しい。穂では,小穂,小穂軸,穂軸,子実が侵害される。はじめ小穂に紫褐色の条斑を生じ,のち灰白色〜褐色になり,穎の合わせ目を中心に鮭肉色の胞子塊が認められるようになる。 穂軸が侵されると,その上方の全小穂は枯死する。古い被害穂上には,黒色,卵形,微細な子のう殻の形成が見られることがある。罹病穂の子実は,子実重,千粒重が減少し褐変粒,しわ粒およびくず粒が多くなる。
伝染:麦の重要病害で主として出穂後穂に発生する。本病の発病には降雨が大きく影響し,特に西日本では出穂期が高温多雨のため本病の発生が多く被害が大きい。主な第1次伝染源は稲わら,稲刈株,イネ科雑草等に形成された子のう胞子である。 穂の感受性は開花期〜開花の1〜2週間後で高い。この一次感染の多少がその後の発病程度に大きく影響する。二次伝染は降雨後内外穎縫合部付近に鮭肉色粘質塊として形成された分性胞子によって行われる。 胞子は主に夜間に飛散し,昼間の降雨は飛散を促進するが,夜間の降雨は飛散を阻止する。本病は収量減のみならず本病原菌の産生するトリコテセンと呼ばれるマイコトキシンにより人畜の赤かび中毒症をひきおこす。
防除:現在栽培されている品種の耐病性では多発年の発病阻止効果が低く,より高度な耐病性をもつ品種の育成が必要である。耐病性強の品種ほど罹病小穂から穂軸への病菌の伸展が困難で,耐病性程度を評価する指標となる。 高度の耐病性品種がないことから本病の防除のためにはトップジンM粉・水和剤,トリフミン水和・乳剤,ベフラン液剤,チルト乳剤等を,開花盛期に1回,または開花盛期とその7〜10日後の2回,二条大麦では穂ぞろい期とその後1週間の2回散布する。