オオムギ 条斑病

病原: Cephalosporium gramineum Nisikado et Ikata

病徴:典型的な導管病である。最初の感染は,播種後約1か月の根に認められ,根から侵入した病原菌は冠部へと進み,次いで地上部茎葉へと移行する。根が感染すると黒変し,株の冠部を切断すると維管束の褐変が認められる。 条斑症状は,はじめ起生期直後の下位葉身に不鮮明な黄色条斑として出現し,幼穂形成期 頃に鮮明な黄色〜黄褐色の条斑となる。この条斑は,コムギ生育にともなって順次上位葉にも出現し,止葉におよび,症状の激しい株は出穂前に枯死する。 葉身の条斑は必ず葉鞘の条斑とつながって生じる。止葉まで条斑が出現している。株では草丈の伸長が著しく阻害され,穂が出すくみ状となり,開花はするが著しい稔実不良となり減収する。

伝染:種子および土壌伝染する。 種子伝染による発病は一般的に病茎率で1〜2%と低率であるが汚染種子を播種した圃場でコムギを連作すると,土壌中の病原菌数が急激に増加し,次年度の発病増加の原因となるので,汚染種子による病原菌の分散を防止することが重要である。 病原菌は罹病麦稈の組織内で麦稈が腐敗消失するまで生存する。収穫後,圃場に残された罹病麦稈中の病原菌は,温度が15度前後になると麦稈上に分生子を形成する。この分生子が土壌中に分散して伝染源となる。このため連作すると発病が急増する。 また圃場に自生するイネ科植物は病原菌の保菌源として重要である。

防除:健全種子を使用する。また,病土や罹病麦稈が作業機によって移動するので,注意する。土壌中の病原菌数の増加を防止するため,発生圃場の麦稈は圃場外に搬出し,完熟堆肥にしてから圃場に還元する。連作による発病増加を防止するため,適正な輪作を行う。 条斑病単独の発生被害が多い圃場では,トウモロコシおよびジャガイモを用いた交互作あるいは短期輪作によっても,発病を最小限に抑えることができる。田畑輪換を行う。圃場内およびその周辺のイネ科雑草は保菌源になるので雑草防除を徹底する。 ベフラン液剤25,ベンレートT水和剤20に浸漬・粉衣・吹付けし,種子消毒を行う。

参考: 日本植物病名データベース