病原:Claviceps purpurea (Fries) Tulasne
病徴:穂に発生し,感染した穎花からは黄色の密滴を分泌,乾燥すると暗褐色を呈する。感染した子房は徐々に肥大し,紫黒色の塊り(菌核)となって,小穂から角状に突出する。
伝染:菌核は地表に落下または種子に混在して土中で越冬する。春に菌核が発芽し子実体を形成,内部に子のう殻,子のう胞子を形成する。子のう胞子は飛散し,開花中の柱頭上で発芽して子房へ侵入し分生子を形成する。
2次伝染源となる分生子は黄色の密滴内に混在し,訪花昆虫によって開花中の他のムギへと伝播される。感染子房部に麦角(菌核)を形成する。麦角の生存期間は約2年間とされている。
発病はライムギに多く,オオムギ,コムギ,まれにエンバクに生ずる。またカモジグサ等種々のイネ科牧草にも発生する。
防除:発病の多い圃場は輪作をする。塩水選により麦角を除去する。塩水選により比重はコムギ,ハダカムギは1.22,六条オオムギと二条オオムギは1.13で行う。比重選終了後は水で十分に種子を洗い,むしろなどの上に広げてかげ干しする。
参考:
日本植物病名データベース