病原: Puccinia striiformis Westendorp var. striiformis
病徴:本病は葉身を主体に葉鞘,稈,ふに発病する。また生育全期間を通じて発病する。秋播種では10月中旬より秋期発生して越冬し,翌春の5月中旬より再び発病,春播種では6月上旬より発病する。
はじめ葉身の表面に鮮黄色で楕円形のやや盛り上がった病斑(夏胞子層)が脈間にすじ状に形成され,のち中から橙黄色の粉末(夏胞子)を飛散する。
罹病性品種では葉身全面に夏胞子層を形成し,葉鞘,稈,ふでも形成され,葉身の早期枯死や茎の生育抑制がおこる。ムギが成熟期近くになると夏胞子層周辺部の表皮下にややもり上がった暗黒色で長楕円形の病斑(冬胞子層)が形成される。
冬胞子層の表皮は破れることがない。
伝染:北海道では,ムギ収穫後のこぼれムギやひこばえおよびマウンテンブロームグラスなどのイネ科植物体上の夏胞子層で越夏し,秋播コムギの秋季発生(10月中旬夏胞子層を形成)をひきおこす。越冬生葉で越冬し,翌春第1次伝染源となる。
また他の地域では早春に中国大陸から黄砂とともに夏胞子が飛来すると推定されている。窒素肥料の多施用は発病を助長する。秋播種の早播きは秋季発生を助長し,隣接圃場への発生源となる。
防除:ムギ収穫跡地は早期に完全反転耕し,こぼれムギなどの発生を抑制して本菌の秋季発生源を断ち切る。窒素肥料多施用をさけ,リン酸やカリ肥料を十分に施用して発病まん延を抑制する。
秋季の極端な早播きはさけ,適期播種に努める。春季の発病初期からバイレトン・粉,水和剤,バシタック粉・水和剤,水和硫黄剤等を散布する。
参考:
日本植物病名データベース