コムギ 黒さび病

病原: Puccinia graminis Persoon subsp. graminis

病徴:葉鞘を主体に稈,葉身に発病する。葉鞘や稈では長楕円形で2mm大のもり上がった茶褐色の病斑(夏胞子層)を形成し,のちに表皮が破れて中から褐色の粉末(夏胞子)を飛散する。 ムギが成熟期近くになると,暗褐色で長楕円形のもり上がった病斑(冬胞子)が露出する。葉では円形または長楕円形のもり上がった病斑(夏胞子層および冬胞子層)となる。下位の稈に発病が多いと折損や倒伏が目立つ。
伝染:本菌は異種寄生性で,中間宿主であるメギ属植物体上に精子とさび胞子を形成し,さび胞子からの伝染が重視されている。本邦では夏胞子が南西諸島から飛来して第一次発生源になるのではないかといわれている。 北海道では秋播コムギに秋季発生した事例はあるが,生体上の越冬は確認されていない。本菌の生育適温は20〜25度で,生育末期に発病することが多く,また低温で生育が遅延した年,おそまきのムギに多発しやすい。
防除:発生初期から水和硫黄剤,バシタック粉・水和剤,バイレトン粉水和剤等を散布する。

参考: 日本植物病名データベース