病原: Erysiphe graminis de Candolle f. sp. tritici Marchal
病徴:秋播きコムギでの初発は播種当年の秋で,はじめ葉面に白色〜汚白色のうどんこを散布したような菌叢が形成される。春期は融雪もない頃から発病が認められるようになる。環境条件がよいと下葉から上葉におよび,激しいときには穂にも発生する。
葉全面に拡大し,灰白色の粉末状病斑となる。さらに日数が経過すると灰褐色となり,その中に点々と黒い小粒点(子のう殻)が散生してくる。
伝染:本病は早春から発生し,主に葉身の発病が顕著であるが,葉鞘,稈,多発時には穂まで発病する。本病の第1次伝染源は前年病斑上に形成された子のう胞子である。子のう殻は麦わらあるいは地面で越夏,越冬し,春先子のう胞子を放出し第一次発生をひきおこす。
また早まき麦,こぼれ麦等では秋期に発生し伝染源となることもある。
発病後は病斑上に形成された分生胞子によって伝播,まん延する。暖冬で雨が多い年,日陰で風通しの悪い場所,窒素過多,厚播きによる過繁茂状態,また早播き栽培で過繁茂状態になった場合に発病が多い。
防除:小麦品種農林61号の耐病性は中。栽培に当たっては適期に,厚播きにならないように播種し,窒素過多をさけ,被害麦わらを近くに放置しないこと,風通しをよくする事等を心がける。病原菌が表皮寄生性であるため薬剤の効果は高い。
薬剤は発病初期の散布が効果的で,株全体に散布する。有効薬剤として硫黄粉剤,トップジンM粉・水和剤,石灰硫黄合剤,水和硫黄剤,バイレトン粉・水和剤,トリフミン乳・水和剤,チルト乳剤等がある。
参考:
日本植物病名データベース