トマト 疫病 (Late blight)

病原: Phytophthora infestans (Montagne) de Bary

病徴:葉,茎,果実,根に発生する。
葉にははじめ不規則円形の灰緑色水浸状の病斑を生じ,急速に拡大して暗褐色の大型病斑となる。
多湿条件では病斑面に白色のかびを生じ,低湿度では病斑が乾いて茶褐色となり,病斑部はもろくなって破れる。
茎や葉柄にははじめ水浸状の暗褐色病斑を生じ,後に暗黒褐色のややくぼんだ病斑になり,多湿時には白色のかびを生じる。
わき芽をかいた部分からの発病が多く,病斑が茎をとり巻くとその上部は萎ちょう枯死する。果実では幼果〜未熟果が侵され,病斑周辺部の不鮮明な暗褐色〜チョコレート色の不正形病斑となり腐敗するが軟腐することはない。露地栽培では雨に当たると綿状のかびを生じる。

伝染:本病菌は被害植物の菌糸で越冬し,第1次伝染源となる。
第2次伝染は病斑上に形成された遊送子のうによって生じる。
露地普通栽培では5〜7月,抑制栽培で9〜11月,促成栽培では12月〜2月,半促成栽培では3〜5月に発生が多い。露地裁培では入梅時と秋雨時の降雨日数が多い年に多発する。施設栽培では低温多湿条件下の苗床で発生させ,苗によって病原菌を持ち込むことが多い。

防除:本病が多発した跡地には作付けしないこと,窒素過多を避け,排水を良好にする。
施設栽培では,苗床の潅水,換気に注意し,発病苗を施設内へ持ち込まないこと。
定植後は換気,潅水量に注意し,多湿を避ける。
薬剤は発病前から予防的に銅水和剤,銅・有機銅水和剤,メルクデランK水和剤などを散布する。
また,早期発見につとめ発病を認めたら罹病組織を防去し,ダイホルタン水和剤,メルクデランK水和剤,ジマンダイセンを散布する。前作で本病が発生した場合には作付け前に温室やハウスを密閉して臭化メチル剤でくん蒸する。

参考: トマト 疫病 - 日本植物病名データベース

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