トマト 灰色かび病 (Gray mold)

病原: Botrytis cinerea Persoon : Fries

病徴:地上部のあらゆる部分を侵すが,果実の被害が最も大きい。
育苗期や定植後の幼植物では葉,茎,葉柄に発生する。
葉には褐色の大型円形病斑を生じ,茎や葉柄では暗褐色で水浸状の円形病斑を生じ,上部の茎葉が枯死する。
生育後期には花弁,がく片などが褐変し,その後花頂部やへたの付近から果実に菌が侵入し,開花前後のものでは褐変枯死して落果する。
果実には水浸状暗褐色の小型円形病斑となり,次第に拡大して果実は軟化,腐敗する。
り病花弁などが葉,茎に付着すると,その部分から発病し,傷口から発病することが多い。果実に1〜2mmの黄白色円形の中心点のある小斑点を生じることがある。これはゴーストスポットと呼ぶ。

伝染:病原菌は被害植物,切りわらなどで越冬し,第1次伝染源となる。分生胞子は空気湿度が高い時によく形成し,乾燥条件下で飛散,伝染をする。発病は20度前後の気温が続き,湿度が高い場合に多いため,促成栽培や半促成栽培の12月から5月にかけての時期に多発する。

防除:密植,低温多湿を避け,夜間の温度と,日中の換気に注意する。 マルチ栽培を行い,潅水量を少なくし伝染源になる被害果,葉,茎は早期に除去するが大切。
薬剤は予防に重点を置き,収穫開始前はダコニール水和剤,ユーパレン水和剤などを散布,収穫開始後は,ロブラール水和剤,スミレックス水和剤,同くん煙,同フローダスト(FD)およびロニラン水和剤を用いる。
また,耐性菌の出現を防ぐため,本剤の間にはポリオキシン水和剤,キャプタン水和剤の散布かユーピグレンAを用いて蒸散し,交互散布を徹底する。

参考: トマト 灰色かび病 - 日本植物病名データベース
     トマト 灰色かび病 - 天敵Wiki

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