タマネギ 灰色腐敗病 (Gray-mold neck rot)

病原:Botrytis allii Munn

病徴:りん茎を侵し,葉を黄変,軟化させる。 地際部から地下部に灰色の粉状のかびを生じる。被害が著しいものでは葉が鮭肉色から白色に変わり立ち枯れる。貯蔵球では首部から肩部に黒褐色の菌核を群生し,周辺に蒼褐色から灰褐色の胞子がビロード状に形成される。腐敗途中のりん片は黒ずみ,水浸状を呈する。
伝染:本病の伝染源は冷蔵中の被害球や放置されたくず球などの表面に形成され,感染は分生胞子による。 下位葉鞘部から侵入し,地際部以下を発病させる。 白色疫病に感染した株は本病菌による2次感染を受けやすい。 大きな被害は冷蔵中の腐敗で,圃場で葉鞘部に付着した胞子が,吊り球時に侵入し被害を大きくする。本病は,圃場での感染が助長される1〜3月の多雨,収穫前の浸冠水,早梅雨,収穫後の多湿条件などは本病を多発させる。
防除:本病菌は低温を好み,冷蔵中に球を腐敗させ,胞子を形成して伝染源となる。 従ってタマネギ産地での冷蔵施設の設置はよくない。多肥栽培をさけ,肥料の遅ぎきを避ける。元肥の堆厩肥の多用を避け,高うね栽培で浸冠水を防ぐ。屑球や腐敗球は早期に完全処分する。薬剤はベンレート水和剤,またはトップジンM水和剤を,トリアジン水和剤と交互散布する。

参考: タマネギ 灰色腐敗病 - 日本植物病名データベース

灰色腐敗病(球):球は赤褐色になり,灰色粉状の菌そうを生じ,胞子(分生子)を密生する。表面に不正形の黒色の菌核を形成する。

灰色腐敗病(葉):地際部の葉鞘またはりん茎に灰色の病斑を生じ,のち灰褐色〜赤褐色になって,軟化,下垂する。

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