有用植物の主要な病害診断・防除総合データベースシステム


[要約]
本データベースシステムでは知りたい病害名を入力すると、その病害の病原・病徴・伝染方法・防除方法や病原の性状等の情報が得られる。また、発生する病害の特徴、分離病原の性状、ウイルス病では判別植物の反応等から関連する病害を検索できる。更に伝染・防除方法に関わるキーワードからも関連する病害を検索できる。

 農業研究センター・研究情報部・研究技術情報科
 連絡先  0298ー38ー8973
 部会名  情報研究
 専門   情報処理
 対象
 分類   指導

[背景・ねらい]
 有用植物に発生する病害は多種多様であると同時に、病原の分類・同定、病気の診断、その生態と防除対策、抵抗性品種など、植物病理学の研究成果の蓄積も膨大である。このため本研究では最近の情報処理技術を活用して、これらの情報を効果的に収録し、研究者から農業技術者を対象に、病害診断から防除までの幅広い情報検索ができるデータベースシステムを開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. イネ、ムギ、トマト、キュウリ等代表的な23種類の有用植物(農作物)を対象に関  係する761病害の中から主要な病害300余りのデータを入力した。
  2. 取り扱っている病原はウイルス、細菌類及び糸状菌類である。
  3. 入力データは、(1)基本データ(学名・病原区分・宿主名・病名 ・画像ファイル)、(2)病害データ(病害・伝染・防除・病徴・病徴画像付随データ)、(3)病原データ(病原・性状記述・識別性状・判別植物・病原画像付随データ)の3種を用いた。
  4. データ検索としては病原名、病原の識別性状、判別植物の反応、病徴・伝染・防除等に関するキーワード等の情報から病害名を検索し、表示させることができる。 また、宿主名、病原名からも同様に病害名が検索ができ、検索した病害名から、その病害に関する伝染経路、防除対策、病徴の様子、病原の識別性状及び病徴、病原画像の各情報を入手できる。 
  5. 構築されたデータベースは農業研究センターのネットワークを介して各研究室のパソコン等から容易に利用することができる。また、利用者は研究者から農業技術普及に関わる技術者まで幅広く利用できるように想定して設計されている。
写真1 キュウリの褐斑病

図1 データモデル概念図

[成果の活用面・留意点]
 本データベースは農研センターのLAN上にあるワークステーションをサーバ(ホストコンピュータ)としてデータベースを一元管理し、クライアント(端末)側としては、X端末又はLANに接続したPC98シリーズとする。なお、データの収集及び入力は農研センターが中心となって関係者で協議して行う。なお、都道府県農業試験場、普及所等公立機関からの利用は、それら機関におけるネットワークの整備、国の著作権の取り扱い方針等について農業研究センターと協議する必要がある。

  使用機器構成
     サーバ:CPU SUN4/10GX
              CRT 21インチディスプレイ
              RAM 64MB
              CMT 1/4インチ
              HD 2GB
              MO&CD-ROM
    端末装置:Xターミナル
              PC9801シリーズ
              ネットワークプリンタ
    オペレーションシステム:UNIX
  使用ソフトウェア
     サーバ側  MWS:OpenWare/Motif
           DBMS:informix Ver 5
           Wingz Ver1.2
    端末装置側  MS-WINDOWS Ver3.1
            Wingz Ver1.2
            Wingz-Datalink Ver1.2
[その他]
 研究課題名:有用植物の病害診断・防除総合システムの開発
 予算区分:  ファクトデータベース等開発費
 研究期間:  平成5年度(平成3〜5年)
 研究担当者:鈴木大助、河本征臣、内藤秀樹、御子柴義郎、小川 奎、中野正明
       大浦正伸、相原貴之(農研セ)、大久保博人、佐藤豊三、西山幸司
              斎藤滋隆(農環研)、手塚信夫、岩永喜裕(野菜・茶試)

[有用植物の病害診断/防除総合システムに戻る]