2.水質汚染
農業用水の水質汚染問題が全国的に研究対象とされたのは,高度成長期以降のことであり,それ以前は,鉱山排水,酸性水等の流入による局所的に存在する問題に過ぎなかった。近年においても,酸性水,休廃止鉱山によって農林水産業や住民の健康に時として重大な影響を与えることがある(1,130,145)。工場排水等の特定汚染源については,排水規制の強化により水質保全対策が進んだが,生活排水等の不特定汚染源対策が重要な課題として残されている。農村地域の水質保全を巡る研究とその対策の歴史的経緯については,谷山らによって詳細に概説されている(138)。現在,有機質,窒素およびリンが主要な汚染物質となっているが,これは輸入食糧の急増に加えて(75),海外からの飼料搬入の上に成り立つ畜産による膨大な排泄物が,環境への窒素等の流れを過大なものにしていることは明らかである(38,60,100)。本稿では,窒素,リン,有機質汚濁を中心に,主として1980年以降に得られた成果を記述する。
(1)農業用水の実態
1)地下水
環境庁は2か年にわたり実施した硝酸性窒素汚染基礎調査および検討調査結果に,既存の調査事例や解析事例を基にした基礎的知見を加えて「硝酸性窒素による地下水汚染対策ハンドブック」を取りまとめた(42)。
地下水における窒素汚染が顕在化したのは,1970年代以降であり,農業生産活動との関わりが指摘されている(9,11,42,43,47,52,81,82,89,147,148)。このような背景を踏まえ,環境庁は平成5年,新たに環境基準を告示し,硝酸性および亜硝酸性窒素を要監視項目に加えた(17)。従来より,硝酸性および亜硝酸性窒素は水道水質基準(10mg/l)で基準項目になっていたものであるが,今回の処置は環境サイドから水道水源を中心に公共水域および地下水の監視を指示したものである。全国的に調査された土地利用別農業用地下水(297地点)の硝酸態窒素(以下,NO3-N)濃度は,施設園芸>畑>樹園地>水田の順に低く,水田周辺の平均値は1.9mg/l,その他の土地利用の平均は8.3mg/lであった(89)。窒素の大部分はNO3-Nによる汚染であり,アンモニア態窒素(以下,NH4-N)濃度はほとんど無視できるものであった。浅層地下水では,窒素の形態は硝酸態型であり,深層地下水はアンモニア型である(9)。地下水の酸化還元状態は,硝酸イオン濃度の大きな支配要因であり,還元的な地下水(Eh 250mV以下)では土地利用・深度に関わりなく,硝酸イオン濃度は低かった(47)。これは,溶解性鉄が5mg/lを超える井戸の硝酸イオン濃度が低濃度であるとした機作と関連するものである(147)。なお,酸化還元状態に関係なく浅層地下水中に脱窒菌の存在が明らかにされ,還元的な地下水では,脱窒が起こり得ることを示唆した(47)。一方,水田周辺の比較的水位の高い地下水の調査によれば,地下水中の溶存酸素量(DO)は夏期に0mgとなり,脱窒が生じ易いことを示唆したが,夏期にNO3-Nが上昇することを説明できなかった。そのため,水田に残留したNH4-Nが落水によって硝酸化され,このNO3-Nが翌年のたん水期に地下浸透するモデルを提案した(51)。
地下水における塩類濃度は火山灰土地域で最も低く,次いで河成壌質土,第三系粘質土,谷津田,海成砂質の各地域の順に高く,NO3-Nは谷津田で高かった(41)。海成沖積地帯では,地区により地下水のかん水によるナトリウム過剰吸収と思われる生育障害が発生した(144)。地質,土壌・立地区分の面から地下水水質を検討する必要がある。
浅層地下水の窒素濃度は①降雨,作物の種類等による季節変動(9,21,50-53,82,126),②土地利用状況(9,21,89,126),③地形(21,89)等によって変動する。濃度変化は,単位面積当たりの化学肥料および家畜排せつ物による窒素発生負荷量,人口密度,降雨量を変数とする重回帰モデルによってある程度説明できる(43)。しかし,家畜ふん尿の遍在的な多量還元の多くは,ふん尿貯留容量が小さい等の畜舎構造の欠陥によって発生していることが多い(60,100)。窒素の動態として,地下浸透過程で微生物作用を受け脱窒による消失が認められた(60,61,49)。特定汚染源(豚舎;素掘貯留槽)からの窒素の窒素の消失は比較的速やかであり,放出されたNH4-Nが土壌および地下水に浸透・流亡する過程でNO3-Nに変化し,さらに脱窒作用を受けてほぼ60-100mの横移動で,周囲の濃度と同じ程度に低下した(111)。このように,窒素の動態は固定,分解,硝化,脱窒等の微生物作用を受ける。微生物反応を考慮した地下水汚染の数値解析手法が開発されているが(66),微生物の定量的評価は困難な面が多い。
数種類の土壌が成層をなす火山性土壌畑の深度30m程度までの地下水を含めた水動態を解析する手法として,タンクモデルが有用であることを明らかにした(104)。この方法は,実測値としてpF~体積含水率曲線,雨量,水面蒸発量,流出量,土壌水分量,地下水深の測定で水動態を把握でき,別途,作成した窒素溶脱推定モデルと組み合わせることにより,窒素の下降移動が推定可能になった(54)。また,農耕地からの地下水汚染を軽減するため,窒素肥料を中心とした環境保全に配慮した施肥改善試験を取りまとめるとともに,汚染水の閉鎖系での再利用,土地連鎖系の活用等の総合的な負荷低減対策と今後の水質管理計画の試案が示された(109,110)。
2)河川水およびため池
ア.河川
農業用河川の水質は全国的な傾向として,1960年代後半から生活排水流入による汚濁が進行したが(18,40,68),1975年以降は工場排水を中心とした汚濁は比較的改善された。近年は開発に伴って,本流あるいは中流に流入する諸支流(中小河川)の汚濁が著しくなっている傾向が認められた(74)。流域の人口増加と水質汚濁の推移が一致し,その水質は生活時間帯によって大きく変動した(30,68)。農業用水の主要な汚染源は生活排水,畜産排水,下水処理水であるが(18,40,74)、農業排水による汚濁も加わり(35,113),汚濁源,汚濁物質が複雑化し作物の被害要因の解析やその対策が困難になっており(68,30),土壌条件や土地利用形態によってかんがい水水質は明らかに地域特性が認められた(28,85)。酪農地帯を流れる河川水質の汚濁評価では,水質変化は汚濁成分,塩類濃度,季節変化,人為的汚濁の4因子に大別され,人為的汚濁は早春の融雪期および降雨後に,畜産施設や放牧地周辺で高まる傾向が認められた(102)。
イ.ため池
ため池の水質について,過去の調査と比較すると汚濁は平野部から中間部に広がりつつある傾向がうかがえる,全窒素(以下,T-N)濃度は70%が基準値(1mg/l)を超えた(135)。集水域の環境とため池の水質をそのイオンバランスで林地,畑地排水,樹園地排水,生活排水系に区分し,生活排水の流入による影響は汚濁負荷の大きさに応じた傾向を示した(44)。特に集落のため池が最も富栄養化しており,化学的酸素要求量(以下,COD),全リン(以下,T-P)濃度が著しく高く,樹園地のため池ではNO3-N濃度が高かった(85)。一方で,流入する河川に比較して,池内のCOD,T-N,T-P濃度が高まるが例があり,これは流入した汚濁物質が池内の生物活動を旺盛にし,その生産物が還元されたことによる(34)。溶存有機物の炭水化物部分は微生物によって加水分解された高等植物に由来することが明らかにされている(15,16)。ため池内における藻類による窒素の取り込み量は池全体の窒素収支に占める寄与は小さかった(139)。したがって,ため池等の汚濁防止には,集落排水処理等による流入負荷の低減,底上げ等の池内蓄積量の低減,水田の浄化機能の取り入れ等の,池全体の水質管理の構築が必要である(34)。
(2)農用地からの栄養塩類の流出と対策
ア.水田
水田からの窒素,リンの流出については,古くから調査研究され,その成果については詳細にまとめられており(64,124),試験対象は流出防止対策に移っている。茨城県は昭和56年,「霞ヶ浦の富栄養化の防止に関する」条例を制定し,農用地から窒素・リン含有物を公共用水域に排出しないよう,その防止対策を義務づけている。水田からの汚濁負荷流出原単位は窒素,リンとも循環かんがい水田〈湿田〈乾田〈傾斜水田の順に大きくなる(193)。水田からの肥料成分の流出は代かき田植期時期に集中し(24,48,123,64),水稲の生育前期は用排水管理法の見直しが重要になる(48,73)。生育後期では追肥時期を除けば濃度が増加する要因は少なく,かつ水田自体の浄化力があるため粗放的な水管理であっても,差引き負荷量の増加につながらない(48,73)。差引き負荷量とは排出負荷量から流入負荷量を差引いた値であり,水質保全の立場からはこの値ができるだけ小さいことが望ましい(124)。窒素除去量は窒素濃度が高くなるほど大きく(106,128),1mg/l以下の用水を利用した水田では,窒素の差引き排出量は比較的高い値を示した(136)。水田の窒素,リン浄化機能はそれぞれ約2.5mg/l,0.25mg/l以上に汚濁されているとき発揮される(65)。窒素の除去量は稲わらの施用で,高められた(12,48,92,106,107)。その効果は,用水のNO3-N濃度が低い場合に大きく,高い場合は認められなかった(107)。生わらの施用は土壌還元の促進により,生育初期の浄化を5-20%高めた(92)。
水田の窒素浄化機能については,すでに知られているところであるが,浄化の大部分は土壌Eh,脱窒菌数,脱窒能の測定から脱窒によるものと推定されている(92)。重窒素を用いた試験によると,田面水に加えてNO3-Nは4日間でその90%が脱窒により消失した(14)。水田土壌のNH4-N浄化容量から,湖沼の環境基準を満たす浸透水を得るには,NH4-N濃度6mg/l以下のかんがい水を減水深約15mm/日で供給し,NH4-Nの年間流入量を1m^3当たり約33g(33kg/10a)以下にする必要があることを明らかにした(112)。また,循環かんがいによる水田からの流出負荷量低減効果は,排水の循環率が高くなるほど富栄養化成分の流出は減少するが(13,63,118),その効果は補給水の水質によって左右される。用水の循環利用方式をとっている水田群からの窒素,リン,CODの収支調査では,窒素は浄化,リンとCODは流出負荷を示した(108)。
一連の地形連鎖系においても,水田の浄化能は重要な役割をもっている。地下水が,畑から水田へと連続している透水層を横移動している過程では,地下水中のNO3-Nの濃度変化は認められなかったが,地下水が田面水へ湧出してくる過程ではNO3-Nの濃度が著しく減少した(91)。茶園排水が流入する水田での窒素浄化機能はかんがい期が非かんがい期に比較して約7倍高く,かんがい期における浄化能は,この時期の同面積当たりの茶園から流出する窒素量にほぼ等しかった(14)。隣接する土地利用別の硝酸性イオンの浸透流出調査によれば,浸透性の高い水田においても茶園の茶園の1/10以下であった(52,53)。非かんがい期がかんがい期よりも高い流出を示す項目はCOD,T-Nであり,これらが下流ほど増加する傾向にあるのは生活排水の流入によるものである(36,126)。しかし非作付期であっても,谷津田のように常時たん水状態にある水田では,浄化が認められており(93,122),浄化ゾーンとしての休耕田の活用が考えられている(129,151)。除去量が濃度に比例する特徴をもっているので,台地と谷津田の地形条件にある地域,あるいは下流部にある湖沼・ため池の富栄養化を防ぐ有効な手段となろう。
栄養成分の流出防止に関して,水田の浄化機能(脱窒作用)の利用が強調されがちであるが,省資源の面から流入成分の有効利用を含めた施肥改善の研究が必要である。側条施肥による窒素,リンの流出低減(132),肥料の形態による田面水への溶出抑制(2,26),元肥減肥・追肥重点施肥法(48),あるいは施肥田植機利用による局所施肥は基肥20%節減が可能であった(25)。水稲は,かんがい水中のT-Nが5mg/l以上になると減収するが(23),被害水田では,強度の中干しによる節水栽培を行うと,窒素の過度の吸収を抑制し効果が認められた(27)。このように,水質面への影響を抑えるだけでなく省力・省資源に役立つ成果は意外に少なく,今後の研究がまたれる。
イ.畑・樹園地ほか
これらの土地利用では,窒素・リン等の流出経路が浸透に伴う溶脱が大部分を占めるため,帯水層における自然流出との区別と,耕地による影響を特定することがきわめて困難になる。したがって,溶脱量の把握はライシメータ試験に頼らざるを得ない面があり現地,実規模の調査例は少なく(6,32,90,105,137),その動態も不明な点が多い。このことが,肥料投入量の多い野菜畑,茶園,家畜ふん尿の問題を抱える飼料作畑が,近年,顕在化しつつある地下水の窒素汚染の元凶とみなされ理由となっている。水環境からみた牛ふん尿施用の許容限界量が策定されている(103)。肥料等の資材の削減は,地下水位,そこに至る深層土の特性,降雨量等を総合的に判断して行うべきものであり,そのために,我々が現在持ち得るデータは少なすぎることを考慮すべきであろう。
(3)汚濁水の農地還元
ア.水田
生活排水等の水稲に及ぼす影響については多くの研究があり(20,39,46,57,78,79,114,146),農業用水の汚濁別濃度分級が策定された(79)。その中で,NH4-N,NO3-N,T-P,T-N等の汚濁項目は,水稲が正常な生育・収量を維持できる濃度であっても水田で浄化されるが,有機態窒素とCODについては水稲の生育・収量に悪影響を与える濃度でなければ水田による浄化は期待できないことを明らかにした。下水処理水の水稲に対するT-N限界濃度は5mg/l以下(20,22),ケルダール窒素3mg/l以下であった(78)。汚濁かんがい水の流入田では,節水栽培,追肥減肥等の栽培現場に応じた窒素過剰対策を講じる必要があり(57),また電気伝導度,窒素,カリウムが病気,奇形米と有意の正相関が認められた例もある(39)。かんがい水の汚濁による窒素の土壌集積と水稲の被害調査によると,土壌の窒素集積量は水口から水尻にかけ濃度勾配が認められ,水稲の生育,倒伏,収量と密接な関係を示した(46)。水稲の高品質安定生産のためには,水口部の窒素減肥と汚濁物質の酸化分解を図る土壌改良が必要である(114)。
集落排水処理水の再利用と栽培,土壌に及ぼす影響が調査され(154,155),し尿を除く生活雑排水が耕地に還元される際の農業環境保全上の留意点は,①農作物の収量・品質,②土壌理化学性,③浅層地下水への影響であるが,これらを考慮すると黒ボク土条件下で,完結型処理が可能な耕地面積は一人当たり75m^2である(69)。しかし,土壌浄化機能の評価は下層土を含めて評価することが必要である(67)。
一方,都市化の進展によって急増している汚濁物質として,生活排水とともに流入する中性洗剤の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)がある。LASが10~50mg/lの濃度範囲では,水稲の生育収量に影響はないが,300mg/l以上になると減収する(29)。水田中でのLASの動態は明らかにされていないが,生分解による消失,懸濁態の沈降による底質への移行および溶存態の拡散による水・底質間の交換反応の三つの現象が知られている。年間を通して,流入するLASの10%程度が懸濁物の沈降により底質への移行すること,沈降による移行量は水・底質間の拡散による交換量よりも1桁大きく,夏期は生分解活性が高いため分解による消失より1桁小さいが,冬期では両者は同程度の量となっている(5,62)。この光分解性に影響を与える因子はLASの暴露と酸化還元電位であり,LASの生分解は広範な環境で起こり得ることが明らかにされた(143)。
イ.畑
畑作物の生育に及ぼす汚濁水の影響に関する事例は少ない。牛尿希釈水灌漑下における試験では,バレイショ,サトイモの収量は標準施用量に牛尿窒素上乗せ窒素20mg/lまでは影響が認められない(77,119)。ダイコン,タマネギについては上乗せ40mg/lまで,化学肥料の施用量を1/2に減量すれば60mg/lまでの汚濁水かんがいが可能である(76)。一方で,富栄養化によるかんがい用パイプの目詰まりを起こす事故が増加し,施設野菜の養水分管理に問題を生じており,その抑制対策として原因となる藻類の発生と消長が環境制御下(光・温度)で検討されている(83)。
(4)水系の水質変動特性
ア.農村域における変動特性
流域の80%以上が山林,田,畑で占められる地域では,天候等の自然条件や施肥等の影響が時間的水質変動の要因となっている(86)。集水域末端の水質変動では,窒素は水田の施肥時期と非かんがい期に高濃度となった(133)。窒素は全体の約7割が溶存態,リンは約6割が懸濁態であり粒子態による移動が主体である(101,121)。降雨時には浮遊物質量(以下,SS),COD, T-P濃度は上昇するが,T-Nは必ずしも上昇しない(101,120)。流出負荷量は流量の影響を受けるが(98,101,121,125),かんがい期と非かんがい期(36),あるいはそのときの降雨条件だけでなく,降雨前の先行晴天日数や施肥時期が関係し,流量だけの関数にはならない(120)。流出負荷量はその流量と水質濃度を測定することによって得られる。いずれも時間的な変動が大きく,正確に求めるには数多くの測定が必要であるが,手間と経費の面から不可能に近く,流量と負荷量の関係を関係式(LQ式)を用いる算出法が検討されている。農業水域での硝酸態窒素の精密測定(16日間隔の測定)結果では,L=aQbの曲線式がよく適合したが,かんがい排水の人為的影響が大きいことからその適用は非かんがい期に限定されるとした(127)。タンクモデル法を採用し,山林からの汚濁負荷予測シミュレーション水質予測モデルが提案されている(140)。窒素・リン等の動態と収支を特定集水域レベルで解析するための手法として,①水移動の実態を表現し得るモデルの作成,②汚染物質の負荷源に関する情報収集,③水田・湿地帯での自然浄化機能に関する情報収集を行い,これらを有機的に結合して,地形連鎖を有する特定流域の自然水質浄化機能を定量的に把握・評価し,簡易にメッシュ化する方法を開発した(134)。本報告では,水移動方向の推定を単に地表勾配最大方向へ移動すると仮定し,発生原単位,流出率は既存データの平均値を用いて試算されているが,対象地域の水質,水量調査および負荷源の背景調査等を十分に実施したならば,より正確な結果を得るとともに,土地利用の変更等の対策が流出負荷量の増減に及ぼす効果,さらに各メッシュごとの汚染物質に対する水環境変化の把握・評価も可能となろう。
イ.河川の水質と流域特性
全国109の一級河川の水質資料から,量的には流量が多い大河川の汚濁総量は大きいが,1975~1987年にかけ総量は減少している傾向を示した(88)。汚濁原因は主として家庭雑排水によるものであった(152)。生物化学的酸素要求量(BOD),T-Pは流域の人口,全事業数,農家戸数,製造事業所数と正相関があり(3,87),また,市街地面積との相関が高い(4)。SSは流域の社会活動量の強さとは明確な関係はなく(3),森林,田,河川・海域流域面積との相関性が高い(3,4,87)。年間総SS負荷量の約70%が降雨時に流入し,窒素の汚濁負荷量は増水時に大きくなる(84)。T-Nは農家戸数,面積との相関が高く,農地,道路からの流出と考えられた(4)。
(5)水系の自浄化作用と汚濁指標
ア.河川
河川の自浄化作用が最も大きいのはBODであり,COD,T-N,T-Pの順で,河川による自浄化作用の違いは流量,植生の影響による(153)。そして,基点の基質濃度が1/10になる距離を求めると,BODの1.5kmに対して,T-Pは4.7kmになり,T-N,T-Pについては集落排水処理等の負荷量の制限が必要となる。多くの水質項目の自浄係数は低水時で大きいが,総有機炭素量(以下,TOC),DOC,T-Nでは逆に高水時で高くなった(8)。これに対して,農業用水路の自浄係数は河川,田面に比較して小さい(80)。河床形態の異なるコンクリート河床と,れき・砂河床で脱窒活性を測定した結果,全域がコンクリート化されると想定した場合の脱窒量は窒素負荷量の1.3%,砂・れきの場合は2.5%に相当する量と予測された(94)。各河川の清浄度を比較するため,清浄係数の算出法が提案されている(131)。河川が示す自浄作用に関して代表的なモデルと室内実験による研究が紹介されているが,現実の河川は,それぞれ流れの状態,流入する汚染物質の質と量,付着生物の種類や量等が異なっており,一般化することは困難である(70)。それぞれの河川の状況を詳細に把握し,各因子間の因果関係を明らかにすることすることが先決であろう。
水中細菌の有機汚濁指標としての有用性を検討し,高栄養性細菌数に対する低栄養細菌数(細菌比)は,汚濁状況をよく反映することを明らかにした(142)。都市中小河川のBOD等の高濃度有機汚濁においては懸濁態有機炭素が支配的であり,これについてはTOCが指標として活用できると考えられた(58)。
イ.ため池ほか
植物プランクトンによるNO3の取り込みはNH4の存在下で抑制され,特にNH4 15μg/l以上のとき顕著であった。窒素源として,NH4がNO3に優先して利用されるが,植物プランクトンの窒素要求量に対して,NH4が不十分な条件ではNO3が利用される(117)。湿地による生活雑排水の浄化効果を,浄化率で表すとBOD:90%,COD:80%,TOC:85%,T-N:65%,T-P:77%であり,有機物関連項目は高い値が得られた。ただし,窒素は冬期に浄化機能が低下した(31)。汽水湖中海の底泥表層部において,脱窒は主としてNO3とNO2の濃度と温度の影響を受け,7~8月にかけての総無機態窒素の減少は硝化・脱窒の一連の反応によるものである(116)。手賀沼底泥における脱窒による窒素除去量は負荷量に対して,冬期(水温5-10℃)で2-4%,夏期(同,25-30℃)で12-15%と見積もられたが,現場湖水中のNO3・NO2濃度が半飽和濃度付近まで低下した夏期では,前記数値をかなり下回ることが予測された(149)。農業用ため池の窒素除去機能を,流入出水量と水質測定に基づく窒素収支と,池内(1.3ha)での脱窒量,藻類による窒素取り込み量測定との両面から定量的に検討した。その結果,集水域(25ha)から池に流入する窒素は年間2538kgNy^(-1)であり,そのうち1261kgNy^(-1)が流出した。差引き1277kgNy^(-1)の窒素が消失したことになるが,実測した脱窒量はその40%に相当した(139)。水系に流入する汚濁物質は,そこに生息する生物群集に種々の影響を及ぼすが,農業排水路において底生動物相を調査し,これによる生物学的評価と理化学的環境の関係を検討した結果,底生動物相による水質評価は理化学的水質より汚濁した状況を示した(45)。河川の生物群集の変動は水質汚濁の進行にもよるが,河川での採れき,採砂の河床工事や渇水時のダム放水の停止による河底の露出等,人為的要因も大きいな影響を与えることも考慮すべきである(71)。また,水路における底泥堆積物の蓄積は,水温が低いときは水質への影響が少ないが,水温が高い場合は底泥の酸素消費に伴い,DOが低下し,窒素,リンの溶出を促し水質を悪化させることが明らかになった(99)。
(6)植物による水質浄化
水生植物を利用した水質浄化機能として最も期待できるのは,富栄養化に関係深い窒素およびリンの吸収である。我が国で,水質浄化に活用されている主な植物,その生育特性および問題点については,すでに概説されているが(7,96,110,141),現在までに得られている知見から判断される限り,その現存量,生産量,塩塩類含有量,また栽培収穫管理の難易度の評価から,ホテイアオイが最適であろう(33,55,56,95,96,110,115,220)。ホテイアオイの植栽は水質浄化対策の一つになり得るが,考慮すべき問題として①生態系への影響,②収穫ホテイアオイの処理がある(97)。②については,資源活用の面から堆肥,エネルギー源等が考えられているが,高水分であることが利用上の欠点になっており,サイレージの調製による飼料としての利用が考えられている(37)。
そのほか,ハス,アオウキクサによるその浄化効果が検討されている(10,19,72,110)。しかし,水生植物による窒素・リンの除去量は水系への年間流入負荷量からみるとわずかであり(0.1%以下),栄養塩類の除去対策として効果的とはいい難いが(59),水生植物の効果は水系全域の生態系の保全という点にあるといえる。
(農業環境技術研究所 小林義之)
文 献
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25)平山 力ほか.水田からの肥料成分の流出とその対策(2)局所施肥による効果.茨城農試研報.25,147-164(1985)
26)平山 力ほか.水田からの肥料成分の流出とその対(3)肥料形態によ効果 茨城農試研報.25,165-171(1985)
27)平山 力.水質汚濁による被害水田の改良に関する研究(2).窒素汚濁水かんがい水田の改良対策.茨城農試研報.26,201-207(1986)
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29) 平山 力,酒井 一.水質汚濁による汚染田の改良に関する研究(3)中性洗剤が水稲の生育収量に及ぼす影響.茨城農試研報.29,99-106(1989)
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127)田渕俊雄,林 寛司.流量・負荷量関係式の信頼性について.農土木論集.131,11-18(1987)
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