T 我が国における農地の劣化と農業による環境負荷の実態

 4.農薬等有機化学物質による環境負荷

 農薬は本質的に環境中に放出されるものである。作物体に付着した農薬は作物体表面で太陽光により分解され又は作物体に吸収され,分解される。土壌に落下した農薬は土壌粒子に吸着され,土壌表面では太陽光により分解され,土壌水の移動に伴い地下へ浸透し,場合によっては地下水へ浸透する。土壌に取り込まれた農薬は,土壌微生物により分解される。水田では,散布された農薬は田面水に落下し,水に溶解して水田外に流出し,河川へ拡散していく。大気へ蒸散した農薬は,大気中を拡散し,一部は降雨により再び地上に落下し,一部は太陽光により分解される。このように,農薬は環境中で分解を受けながら環境中に拡散し,分布する。農薬の環境における拡散と環境に及ぼす影響を把握するためにまず環境における農薬の存在量を知ることが重要である。環境中の農薬の分布を把握するためには膨大な測定が必要である。このため,数学モデルを考案して予測する試みられている。川本等は速度論モデルを用いて東京都とその周辺3県の環境中の農薬の運命予測を試みた(33)。また,金沢(20,21)は平衡論モデルでの農薬の環境中の分布の予測方法について,内田(78)及び吉田(84)は最近のモデル式について解説しているので参考にされたい。また,農薬の光分解及び農薬の環境動態に関して一般的な状況を把握するためには総説(8,25,36,38,46,53,63,64,69,80,83)あるいは成書(21)を参照されたい。なお,個々の農薬の動植物・土壌中での代謝・分解に関する研究や農薬の環境動態を把握するための微量分析法あるいは農薬の捕集方法に関してはここでは取り扱わない。

(1)土壌(土壌に生息する生物に対する汚染を含む)

 農薬の土壌中の挙動は,農薬の持つ物理化学性(化学構造,分子量,融点,沸点,蒸気圧,水溶解度,土壌吸着係数,水・オクタノール分配係数,ヘンリー定数,光の吸収スペクトルなど)と土壌の特性(有機物含量,pH,砂や粘土含量などの組成,陽イオン交換容量,水分含量,水分保持力,酸化還元電位,土壌微生物など)及び気象条件(気温,太陽光,雨など)の影響を受ける。

1)有機塩素系農薬の土壌残留性

 かってわが国でも使用されたことのある難分解性有機塩素系農薬は,地球環境中に広く分布しており(17),我々は食物を通してこれらをを摂取している(77,85,86)。国内ではキュウリなどの特定の農産物にディルドリンが検出されることがある(73,81)。ディルドリンの土壌残留性と特定の作物の吸収性については1960年代後半から1970年代前半にかけて調査研究がなされた。ディルドリンの土壌残留性と作物の吸収性に関して相関性があるため作付け前に土壌調査を行うことにより問題を回避することができる。また,ディルドリンの土壌残留濃度を下げるためにその圃場を水田化したり,作物による吸収を抑制するために畑に活性炭や堆肥等の有機質を施用することがある程度効果がある(41,50)。

 有機塩素系農薬のPCNB(quintozene, pentachloronitrobenzene)剤はアブラナ科野菜の根こぶ病防除に使用されている。主たる使用場面はキャベツとハクサイで,関東地方一円での使用量が多い。年間の製剤の使用量は平成4農薬年度で製剤で5,300トンであった。この剤は,通常30kg/10aが使用の上限であるが,連作の影響で使用量がかなり多くなっている。PCNB剤を1回使用した場合,通常の使用状態でも表層10cmに均一に分布したとすると数十ppmとなる。PCNBの蒸気圧は固体の化合物としては比較的高く,1.8Pa(25℃)で水に難溶である。ヘンリーの法則によればこのような化合物は大気中に蒸発し易いことが予測される。川田らの実験ではPCNBの土壌からの蒸発は温度の上昇と共に増加し,砂質の土壌ほど蒸散量が多かった(28)。また,飛田らは圃場をプラスチックシートで覆うとPCNBの残留濃度は減少せずに高い値を保つが,シートを取ると急速に減衰したと報告した(71)。PCNBは土壌中の対有機物(通常炭素量を用いる)吸着平行定数は2×10^4と計算されており,土壌に強く吸着される(31)。PCNBの土壌中での微生物分解に関しては古くからの研究により明らかにされている。PCNBは散布直後は高い残留値を示すが,2カ月程度で1ppm以下に減衰する。一方,代謝物であるPCAが増加し,数ppmにまで達する。他の代謝物は1/10以下である(2)。

2)除草剤の土壌への残留と作物への影響

 パラコートは,非選択性接触型の除草剤で,速攻性で効果が高いために果樹園,桑畑,その他畑地の雑草防除に広く用いられてきた。現在,本剤はジクワットとの混合剤として年間約7,000klが使用されている。パラコートとジクワットは塩基性化合物で,散布後土壌に達すると土壌粒子に強く吸着されるために散布後に播種叉は移植した作物には影響を与えないと言われてきた。土壌に吸着されたパラコートは微生物による分解を受け難くなることと水による溶脱がほとんど起きないために土壌中に残留し易い。パラコートを連用すると土壌中の残留濃度が上昇したが,その速度は散布回数が増すに従って鈍化した。実際の農家圃場での土壌中濃度は高いところで数十ppm,通常数ppmであった。土壌中の垂直分布では,表層10cmまでは高いが深くなるにつれて急速に残留濃度は低下した。土壌の特性にもよるが,火山灰土や砂土では土壌中のパラコート濃度が100ppmを越えると作物へ影響が出るおそれがある(39,50)。 

 前作に使用した除草剤による作物の生育障害が報告されている。タマネギの栽培地帯で葉のクロロシスや根の萎縮など発生した。この原因は植え付け前に使用したトリフルラリンが土壌表面に高濃度に残留することによることが明らかになった(10)。また,前作に漬け菜類を栽培したときに用いたニトラリンによるスイートコーンの生育障害が発生した。障害が発生した圃場でのニトラリンの残留濃度は0.13-1.38ppmであった。この濃度でスイートコーンを用いた再現試験を行ったところ農家圃場で見られたと同様の草丈の抑制,根の異常が観察された(1)。

3)土壌微生物による農薬の分解

 土壌中には多様な機能を持った微生物が存在する。土壌中における農薬の分解にはこれらの微生物が重要な働きをする事は多くの研究で明らかである。

 Kawamotoらは好気的及び嫌気的条件下での培養液中での微生物による分解速度を農薬の環境中の運命を予測するためのパラメーターの一つとして測定した。チオベンカーブ,クロロタロニル,クロロニトロフェン,キントゼンなど10種類の有機塩素系農薬では好気的条件では半減期は0.4-50日,嫌気的条件では0.06-100日であった(32)。

 農薬を連用すると土壌中の微生物相に変化が起こる。チオベンカーブやカルボフランでは農薬を土壌に施用した場合農薬を連用すると農薬の分解が速くなった(25,43,44,45,80)。第2のタイプとしては農薬を連用しても分解速度に変化が起こらなかった。モリネートがこのタイプで微生物は農薬を炭素源として利用できない(12,13,25)。第3のタイプはクロロタロニルで施用することで分解速度が遅くなった。この原因は土壌環境の変化によるものと考えた(22,23,25)。

 分解の過程で生成する化合物による生態への影響が発現する場合がある。微生物の作用によりチオベンカーブの脱塩素化合物が生成し,それがイネの生育障害をもたらした例がある(80)。

 微生物が農薬を完全に分解するためにはその分解に必要な代謝系を持たなければならない。しかし,人工的に作り出された化合物を積極的に代謝分解する機能を微生物が持っていることは考えにくい。しかし,土壌中での農薬の分解で農薬を構成する炭素が炭酸ガスにまで分解されることはよく観察されている。これは,農薬の分解にはコメタボリズムの連続や微生物の共生による分解が重要であることを示している(8,21,25,64)。微生物による農薬の分解をより理解するために酵素レベルの研究さらに分解酵素の発現に関する遺伝子レベルの研究が重要となる。農薬を分解する微生物は多数分離されているが,分解酵素や遺伝子レベルまで進んでいるものは少ない。一例を挙げると,カルバリルを加水分解するBlastobacter sp.,カルバリルを資化するArthrobactor sp.RC100, フェニトロチオンを資化するPseudomonas sp.MF300に関する研究がある(8)。妹尾らはγ-HCH(BHC)を分解する土壌微生物に関して詳細な生態研究を行った。土壌にγ-HCHを添加した場合最初の2年間は分解速度が遅かったが,3年目には添加量の90%が1ヵ月以内に分解された。妹尾らは,分解微生物を単離し,土壌中の微生物の挙動・生残性,土壌環境条件,補食者の活動,微生物の生理状態,土壌中の気質の分布などの影響について詳細に検討した。このことは土壌中の有機塩素化合物の残留レベルを下げるために役立つことと思われる(65,66,67,68,87)。

 光学異性体間の微生物分解速度に相違があることが報告されている。サリチオンのラセミ体を好気的条件で土壌に処理すると(R)体の割合が高いサリチオンが回収された。滅菌土壌ではこの現象が起こらないことから土壌中の分解菌によるものと考えられる(15)。

 多くの合成ピレスロイドは立体異性体及び光学異性体の混合物である。これらの化合物を畑地状態での分解速度を検討したところトランス体はシス体よりも,αS体はαR体よりも速く分解した。さらに,単離した菌によるピレスロイドの分解は異性体間で差がみられた。単離菌の無細胞抽出液をゲル濾過して得た分画について基質特異生の異なる活性ピークが認められたことから土壌微生物には基質特異性の異なる複数のピレスロイド加水分解酵素が存在し,異性体間に分解速度の差が生じたと考えられる(62,63)。

4)土壌微生物に対する農薬の影響評価

 農薬の使用形態として同一の農薬が繰り返し使用されることが多い。農薬を連用すると農薬の土壌中での分解速度が変化し、分解菌や耐性菌が集積して問題を引き起こすことなど土壌微生物相に対して種々の影響を引き起こしている。逆に,土壌中では,農薬の大部分は土壌に吸着されているために微生物が土壌中の農薬を利用できる濃度は極めて低い。典型的な例として,パラコートは土壌中に比較的高濃度に残留しても土壌に強く吸着されているために微生物に対する影響は少なかった(24,25)。

 農薬の土壌微生物に及ぼす影響に関する従来の研究は土壌呼吸,有機物(セルロース)分解,アンモニア化成,硝酸化成,脱窒及び窒素固定等を活性の測定対象としてきた(18,19,52)。土壌中の細菌数などの変化を調査した研究例は多いが,土壌条件などが変化し,農薬の影響を再現性よく捕らえるのが難しい。微生物は複雑な相互作用を及ぼしながら生息しており,環境中では分解者として重要な役割を負っている。しかし,対象が多様で,微小であるためにその研究は間接的となり,農薬の土壌生態系への影響について統一的な見解を引き出すには至っていない。このため,土壌生態系に及ぼす農薬の影響評価のための試験方法について一定の標準化方法示すことが出きればこの分野の一定の進歩に大いに役に立つ。農薬の土壌生態系への影響を評価するにあってどのような生物相あるいは活性を対象に,どの程度の変化を影響と見るかについて研究者間の合意が必要である。このため,影響評価方法の確立とデーターの集積が重要である(81,82,83)。このような観点から現在,ヨーロッパと日本で土壌微生物に及ぼす農薬の影響試験方法が提案されている(60,82,83)。特に,山本等が取りまとめた試験方法にはわが国特有の水田での影響試験方法が提案されているので土壌微生物に対する農薬の影響試験に関心のある方には大いに参考になる(80)。

(2)水質(水域に生息する生物に対する汚染を含む)

 多くの農薬は,ほとんど水には溶けない。しかし,極めて希薄な濃度であるが農薬は水に溶ける。この濃度が,農薬の環境中への拡散に重要な役割を果たす。わが国では水田農業が盛んであるが,水田に散布された農薬が水を介して河川へ流入したり,地下へ浸透する。一方,畑地の場合は降雨があれば土壌表面に落下した農薬は水の流れに乗って下方へ移動するが,土壌が乾燥してくると下層から表層へ移動する土壌水分の流れに乗って土壌表面へ移動する。

1)田面水中の農薬濃度の推移と水田からの農薬の流出割合

 水田水中の農薬の濃度は,農薬の単位面積当たりの使用量,農薬の製剤型,農薬の物理化学的性質,土壌の特性,微生物分解に対する安定性等により変化する。水田水中濃度を決める主要因は,単位面積当たりの使用量が同じならば農薬の水溶解度である。塩でない農薬の水溶解度は,千ppmを越すものもあるが一般に小さく,百ppm以下(1ppm以下の農薬も多い)である。このほか,水田にイネが植わっているかどうか,藻が繁殖しているかどうか,田面水が濁っているかどうか等により田面水中農薬濃度は異なる。水田水中の最高濃度は散布直後から翌日までの間に現われる(40,49)。粒剤の場合はその出現が乳剤に比べて遅れるのは当然である。最高濃度は,その農薬の持つ水溶解度よりはかなり低いのが普通である。ライシメーターを用いた実験で水中濃度の減衰速度は,半減期は多くの農薬が2-5日であった(40,49)。

 散布された農薬が水田から系外に流出する経路は表面流出と浸透水(漏出水)である。表面流出率は農薬の水溶解度と高い相関がある。表面流出条件は省くが,流出率の高い農薬としてシメトリン,モリネート,ベンスルフロンメチル,ダイムロンなどの除草剤,カーバメイト系殺虫剤のPHC,殺菌剤のイソプロチオランを挙げることができる。一方,漏出による流出も当然のことながら農薬の水溶解度と正の相関があった。この測定値には現地での流出割合よりもライシメーターでの値が大きかった。表面流出割合の低い農薬としてCNPやビフェノックスが2%弱,流出率の高いものとしてはPHC,シメトリン,モリネート,ベンスルフロンメチル,イソプロチオランが投下量の20%以上流出した。浸透水による漏出はPHCが20%を越えた。この他2%を越える漏出があったものとしてベンスルフロンメチル,ジメピペエート,トリシクラゾールを挙げることができる(40,49)。これらの測定では実験に用いた水田やライシメーターでの水管理の様子,水田等の土壌特性が大きな影響を与えるためある種の農薬が何パーセント溶出するかはそれらの条件次第である。

2)河川水中濃度の実態と一定地域からの農薬の排出率の推定。

 水田から流出した農薬は排水路から中小河川を経て大河川へと流れていくにつれて希釈されていく。田植えの時期にもよるが,関東以北では5月の上旬ごろから河川で初期除草剤が検出される(7,11,16,40,49)。その濃度は,その農薬の水溶解度,使用量,その地域の水管理の様子散布地域からの隔たりなどにより変わる。検出される期間は2-3ヵ月,なかにはシメトリンが1年中検出されたとの報告もある。検出濃度は,CNPとクロメトキシニルは水溶解度が低いため河川水中濃度は1ppbを越えることはなく,ダイムロン,オキサジアゾン,ダイムロンは1-10ppbの範囲で検出された。モリネート,シメトリン,ベンチオキャーブは多くの河川で比較的高濃度(<10ppb)で検出されることがあった。殺虫剤や殺菌剤は空中散布により広域に散布されることがあるため散布直後から河川水中から検出された(10,21,61,89)。その濃度は,概ね数ppb以下であったが,フサライド,IBP,BPMCは10ppbを越えて検出された(21)。松くい虫の防除のために散布されたMEPが散布地域近くの河川で一時的に1-10ppbの濃度を記録したが,このほかは0.1ppb以下の濃度で推移した(10)。水田から排水路へ流出した時の希釈率は平均100以上,水田から小河川の希釈率は500倍以上,大河川では1,000倍以上に希釈されることが推定される(21)。

 河川から検出される農薬濃度と河川の流水量から農薬の積算流出量を求め,その河川の流域の農薬使用量調査から農薬の流出割合の算出が試みられた。いくつかの例を挙げるとCNPが0.1-1%,ベンチオカーブ0.5-20%,シメトリン1-44%,BPMC粒剤20%,空中散布された殺虫剤と殺菌剤では数%から数十%の幅があった(11,40,49)。これらの調査では対象地域での農薬の使用量や河川水の流量の測定が困難である等の問題を含んでいる。

 水田で使用される農薬について田面水中の濃度に基準を設けることとなり,すでにいくつかの農薬について田面水濃度の規制値が定められている(9)。水田で使用される農薬の使用頻度と量がこれらの基準に基づき定められている。河川水中の濃度を安全レベルに保つために河川水への農薬の流出を抑制する必要があり,そのために重要なことは各水田での水管理をきちんと行い,かけ流しをしないことである。

3)畑地及びゴルフ場から水系への農薬の流出

 畑地で使用された農薬の水系(地下水を含む)への流入に関する研究報告は少ない。この理由としては雨が降った時に畑地から流れでる水を的確に集めることが困難であること及び地下水を採取するための井戸が必ずしも都合よく存在するとは限らないからであろう。田瀬等は,群馬県嬬恋村のキャベツ栽培地帯での河川及び地下水中のPCNBの濃度を測定した。この地帯では長年に渡ってPCNBを使用してきており,本剤による環境汚染が懸念される。田瀬等の測定では,河川水の最高濃度は1.4μg/l,湧き水では7.9μg/lであった。ここで問題なのは湧き水中のPCNB濃度が河川水濃度より高いことである。河川水中のPCNBは土砂が風雨により運ばれて河川に流入するためと考えられるが,湧き水すなわち地下水が汚染しているということは雨水によりPCNBが地下浸透したということである。その証拠として採取した水の中の硝酸イオン濃度が高いことからもうかがえるとしている。田瀬等はPCNBがキャベツ畑よりも上流の湧き水からも検出されたことの理由として大気経由の拡散があるものと考えている(70)。

 近年の河川水中の残留農薬のが社会の関心を集めたことの発端はゴルフ場で使用された農薬が近隣の河川に流入し,水道源水を汚染したことに始まったと言って過言ではない。ゴルフ場は芝等の管理のため排水を人工的に改善させているために芝生に散布された農薬がゴルフ場内のの溜め池や排水中に検出されることは当然である。この問題に関しては,環境庁が排水基準を設け(9),排水の監視指導しており,現在では排水中から農薬が検出されることはあるが,基準値を越えて残留農薬が検出されることは稀である(3,58,72,73)。

4)農薬の水環境における分解

 水に溶け込んだ農薬は,太陽光による光分解,微生物による分解その他物理化学的要因による分解を受ける。平松等は,河川水,湖沼水,海水,地下水中における各種の農薬の消長についてガラス容器で調査した。有機りん剤とカーバメイト系農薬の水中の持続性は地下水>海水>湖沼水>河川水の順に短くなった。弱酸性から弱アルカリ性の水中での安定性,滅菌水中での安定性,採取した水をメンブランフィルターで濾過した場合の影響を調査した結果弱アルカリ性ではNACは分解を受けるがMEPは安定であった。IBPは微生物分解を受けやすいがPAPは非生物分解により分解された。検水に農薬を添加してメンブランフィルターで濾過するとMEPの濃度は半減するが,NACの濃度は変化がなかった。以上の実験から河川水や湖沼水中では農薬は微生物の分解を受けるが,海水中では弱アルカリ性による加水分解を受けることが判明した(10)。農薬の水中安定性に関しては北森等もpHの影響を試験した。ダイジノンは暗所で弱酸性で弱アルカリより分解し,フサライドは弱アルカリで速やかに分解した。シマジンやベンチオカーブは安定でほとんど分解しなかった(35)。

 金沢は生分解速度を求めるためにメタボリズム区(無機塩類と微生物源を添加)とコメタボリズム区(無機塩類,グルコース,ペプトン,微生物源を添加)を設けてそれぞれの中での農薬の分解の様子を観察した。メタボリズム区では数日のタイムラグを経て農薬の濃度の急速な減少が観察された。このことは,添加した微生物が農薬を炭素源として利用したことを示している。コメタボリズム区で農薬濃度の急速な減少がなく,微生物は農薬を炭素源として利用することができず培養液中の利用しやすい炭素源を利用したということになる(21)。北森等もゴルフ場の調整池の水を用いて類似の実験を行なった。微生物源により農薬の分解の様子が異なった(35)。

5)農薬の水生生物への影響と評価

 水環境では種々の生物が相互に関係を保ちながら生態系を維持している。このような環境へ農薬が混入すると農薬はその物理化学性に応じて水相や底質に分布する。この水相の濃度が水棲生物への暴露濃度である。水生生物に対する農薬の影響は暴露濃度と生物の感受性により決まる。環境生物に対する影響試験を実施するにあたり供試生物として何を選ぶかがまず問題となる。国内の農薬の登録にはコイとミジンコが最低限必要である。この他,ヒメダカ,ニジマス,ドジョウ,エビ等が利用可能である。現在は48時間の急性毒性を観察しているが(54,55,56),かってはモリネートがコイに貧血症状を起こしたことがあり,観察時間をより長期間とすること(国際的には96時間)と生化学的な検査を導入する必要がある。ミジンコを用いる試験では試験時間は3時間であるが国際的なガイドラインに合わせるために24時間か48時間を暴露時間としたほうがよい(69)。化学物質により環境の汚染が広まるにつれて水生生物における汚染物質の代謝と生態への影響に関する研究が急速に進展した。一般に,魚類の肝ミクロソームのチトクロームP-450等の薬物代謝酵素の活性は哺乳類に比べて著しく低い。しかし、加水分解や抱合体形成能は哺乳類に匹敵する。フェノール化合物の抱合機構はグルクロン酸抱合(魚類),硫酸抱合(魚類,貝類,エビ類,カニ類),グルコース抱合(エビ類,カニ類)が報告されている(36)。小林は,MEP等の有機りん剤は甲殻類に対して強い毒性を持つが,幼生の成長に伴いチオノ型有機りん剤耐性が急激に低下する。その原因は,初期幼生はチオノ型からオクソン体への転換能が低いためであり,変態を経て成長するにつれて解毒能の向上とともにオクソン体への酸化能が上昇するためである(36)。

 一方,狩谷らは河川に流入する農薬の魚類と甲殻類に対する影響評価のためにアカヒレ及びヌカエビを供試生物として用いて試験し,河川水中農薬濃度がこれらの生物に危険なレベルにまで達することがあることを報告した(30)。

畠山等は霞が浦に流入する河川水は5月下旬から8月上旬までの間にヌカエビが死亡するほどの濃度の農薬が検出されたことを報告した(6,7)。水生植物に対する環境汚染物質の生態影響を測定する方法として藻類に対する水田除草剤の影響評価方法が報告されている。供試生物として緑藻の一種セレナストラムを用いている。この方法を用いて小貝川における生態影響を調査した。河川水中でセレナストラムの増殖率は,5月の初旬から急速に減少し,5月中旬に最大の阻害率を示し,5月20日過ぎからやや回復を傾向を示したが5月末に再び下がる傾向を示し,6月に入り回復した。この変化は他の方法で測定した河川水中の除草剤の濃度の増減と一致した(7)。

 一方,藻類は水環境中で第一次生産者としてさらに環境汚染物質の除去者として重要な役割を果たしている。セレナスポラムを用いて有機りん殺虫剤の吸収分解速度を測定し,緑藻類の環境汚染物質の除去に関する動力学的解析を行った(51)。

(3)大気

1)散布による農薬の大気中濃度

 ヘリコプターを用いた空中散布は短時間に広域に農薬を散布するために散布された農地周辺へ農薬が飛散する。空中散布後の気中濃度,地面への落下量を測定した例が多く報告されている。散布された農薬の気中濃度や落下量は散布地点からの距離と風向きにより異なる。松食い虫防除のためにMEP乳剤を散布した例では,散布地域内では気中濃度が100μg/m^3に達することもあった。散布直後の散布地点内での気中濃度は数μg/m^3であった。散布地点からの飛散距離に関しては1,000mの距離では0.01-0.02μg/m^3を検出されたが,3,000mの距離では検出されなかった。また,3km離れた地点で0.1μg/m^3検出されたとの報告もある。空中散布は早朝から散布作業が開始される。気中濃度は散布後急速に上昇し,一旦濃度が低下するが気温の上昇とともに再び上昇し,夕方には減少する。翌朝,気温の上昇とともに再び気中濃度が上昇し,この変動を繰り返しながら気中濃度が減衰していった。水田での空中散布の場合,BPMC・MPP・EDDPの三種混合散布を行った例ではBPMCの気中濃度が散布地点近傍では10μg/m^3を越えたが,有機りん剤の濃度は1μg/m^3を越えることがなかった。BPMCはMEP,MPP,フサライドより気中濃度が高くなった。これは蒸気圧の差にによるものと思われる。農薬散布地域内では気中濃度が数μg/m^3を越えて時には数十μg/m^3に達することは避けられない。風向きにもよるが,農薬の散布地域外に農薬が飛散することは避けられない(27,29,37,74,75)。散布地域内で農薬の気中濃度がある程度高くなるのは当然である。しかし,散布作業に従事する人に対する安全対策を講じることが重要である。このため,労働環境の安全性確保のためBPMC,MEP等いくつかの農薬について労働衛生上の気中濃度限界(許容濃度暫定値)が産業医学会から勧告されている(57)。これらの基準のいくつかを紹介するとフェニトロオチオン(MEP) 1mg/m^3,フェノカーブ(BPMC) 5mg/m^3,フサライド 10mg/m^3などである。さらに,航空散布による生活環境の大気中濃度の指針値なる考え方が提案されている。この数値は,フェニトロチオン 20μg/m^3,フェノカーブ 100μg/m^3,フサライド 200μg/m^3である(57)。

 空中散布以外の農薬散布での気中濃度の測定例としては群馬県嬬恋村でのPCNBの測定例が報告されている。嬬恋村はキャベツの大産地で,キャベツの栽培のためにPCNBを毎年多量に使用している。この地域のPCNBの使用は5月初旬からであるためにバックグラウンドを測定するために4月初めに大気を採取したところ0.007-0.036μg/m^3を検出した。同時に採取した河川水や湖水から0.40μg/l及び0.007μg/lを検出した。5月初旬から気中濃度は大幅に上昇した。その後,6月にかけてた数回の測定を繰り返した。気中濃度は,0.01μg/m^3のレベルから数μg/m^3のレベルであったが,キャベツ畑の中では10μg/m^3を超えて検出された例もあった(26)。

 近年,ゴルフ場における農薬使用に関心が集まっている。ゴルフ場では一般の競技者が出入りする場所で農薬の散布が行われる。このため,これらの競技者の農薬に対する暴露量を把握するために測定が行われた。フェニトロチオン,イソプロチオラン,フルトラニル,トリクロルホス,シマジンの気中濃度を測定したところ150cmの高さではフェニトロチオンで最高0.56μg/m^3が検出されたが,その他の農薬はこれよりも低い値であった。散布後農薬の濃度が上昇し,気温の下降とともに減少し,翌日再び上昇した。このように増減を繰り返して数日で検出されなくなる。この他,ゴルフ場で散布された農薬の測定例が報告されているが,ゴルフ場内の気中濃度は1μg/m^3以下であった(34)。夏期にゴルフ場から数km離れた地点で数ng/m^3の有機りん剤が検出されたが,冬期には検出限界以下になった。検出された農薬は必ずしもゴルフ場で必ずしも使用されたものではない(4)。

 施設内で慣行散布と無人散布(フローダスト及びくん煙剤を使用した)の気中濃度の比較を行った。慣行散布では散布中はTPNで約250μg/m^3を記録したが,その後は急速に濃度は低下し30分後検出限界以下になった。無人散布では散布直後,製剤により異なったが,1,000-10,000μg/m^3の高濃度になったが,12時間後には検出限界以下から数μg/m^3に低下した(49)。

2)農薬の大気中への蒸発と大気中での動態

 大気中に蒸発した農薬が大気の循環により広く地球全体に拡散していることはDDT,BHC等の難分解性有機塩素化合物がそれらの使用地帯から遠く離れた地帯から検出されていることからも明らかである(17)。わが国では,河川水中の農薬濃度の測定例は多いが,大気中の調査例はほとんどない。これは空気中の農薬の捕集方法が安定していないこと,野外での大量の空気を捕集するためにはそれなりの装置を必要とすること,特に高層の大気の捕集が容易でないこと,風により測定値が大きく変動することなど河川水中の濃度測定以上に困難な問題がある。

  雨水中からMEP,マラソン,ダイアジノン,クロルピリホス,BPMC,IBP,モリネート,ベンチオカーブなどが検出された。検出された濃度は数十から数百ng/lで,主として春から夏にかけて検出された。これは農薬の使用時期と一致していた。しかし,ダイアジノンとモリネートは一年中検出された地域もあった(21)。また,宇野等は奈良県内で一年間の降雨を分析した。春から夏にかけてMEP,マラソン,ダイアジノン,IBP,CYAP,オキサジアゾン,ディルドリン,BHC検出され,冬にはそのレベルが最低となった。8月の雨からIBPが150ng/l検出されたほかMEPが28ng/l,その他の有機りん剤は数ng/l以下であった。なお,ディルドリンとBHCは毎月の雨水から検出された。ディレドリンの濃度は0.1ng/lのレベルであったが,全BHCは数ng/lのレベルで検出され,特に夏期には十数ng/lに達した(76)。

 農地からの蒸散が問題になっている農薬の一つに臭化メチルがある。臭化メチルは,土壌薫蒸剤として叉検疫のための倉庫などでの薫蒸剤として世界中で使用されている。臭化メチルは低沸点の化合物で常温では気体である。このため,薫蒸に使用された臭化メチルは処理後は大気中に拡散させている。大気中に放出された臭化メチルは上空で太陽光線などにより分解され,臭素を放出する。この臭素は,オゾンと反応してこれを破壊する。臭素は塩素よりも反応性に富み,オゾン破壊能力は塩素の40倍と評価されている。このため,1992年のコペンハーゲンで開催されたモントリオール議定書締約国会議で臭化メチルをオゾン層破壊物質として規制対象とすることの合意が図られた。当面は,1991年の使用実績に凍結することとなった。しかし,土壌消毒や倉庫薫蒸に使用された臭化メチルの何程が大気中に放出されているか十分な資料がない。今のところ土壌薫蒸では使用された臭化メチルの50%が,倉庫薫蒸では80%が大気中に放出されるとしている。土壌消毒及び検疫薫蒸の場合,ある程度代替する薬剤叉は方法はあるもののいずれの方法も十分とは言えない。このため,臭化メチルに代わる方法の開発が急務である(14,42,79)。

 農薬単品の大気への蒸散は,農薬の蒸気圧,温度,風速等により影響を受ける。Hashimotoはこの様子の予測式を提案した(5)。農薬が水に溶けている場合は,気相と液相間の分配により気中の農薬濃度が決まる。一般の溶液は理想液体ではないのでラウールの法則は成立しないが,希薄溶液ではラウールの法則を当てはめて考えると便利である。また,希薄溶液の溶質についてはヘンリーの法則が成立する。このことは農薬が環境水に溶解しているような希薄な溶液では,ヘンリーの法則により水環境と大気間の農薬の挙動を予測ことができると言うことになる。Watanabeは農薬の物理化学的性質から予測される農薬の大気環境への移行の様子と実験値との比較検討した。ヘンリー定数が10−3以下の農薬は水溶液からの蒸発が認められなかった。ヘンリー定数と土壌吸着係数の比が10−5以下のものは土壌からの蒸発は認められなかった。植物体表面からの蒸発は蒸気圧と分子量の積に相関があった(88)。奥村は蒸留水に添加した農薬の大気中への蒸発速度を,水溶液中の農薬濃度の減少として測定した。この蒸発速度は,正確性に問題はあるが蒸発しやすいものかどうかの比較には使用できる。しかし,この測定値は文献から求めたヘンリー定数との相関は良好とは言えなかった(59)。

(4)作物における残留の実態

 現在わが国では103種類の農薬が,130種類の食品について食品衛生法に基づく残留農薬の基準が定められている(この組み合わせは約6,000)。また,農薬取締法に基づく登録保留基準(食品衛生法の残留基準が定められていない農薬に限る)が221(このうち10農薬について重複)農薬について設定されている。これらの基準を遵守するために各農薬と農作物の組み合わせごとに農薬の使用方法が定められている。これを農薬安全使用基準という。

 農薬の残留基準が定められてもはたしてそれが守られているかどうか消費者にとっては気になるところである。東京都における有機塩素系農薬の摂取量調査が報告されている。これらの農薬は,使用されなくなってから約20年を経たが,今でも食品から検出される。1980年から1992年にかけてHCH(BHC), DDT, ディルドリンの一日摂取量を調査したところ1980年には全HCHが4.47μg,全DDTが3.40μg,ディルドリンが0.92μgであった。10年間にこれらの摂取量は80-90%減少した。ADIに対する摂取量の比は前2者が1/500-1/1,000, ディルドリンが1/50であった(77)。ディルドリンはキュウリなどのウリ類に残留し易いことが言われてい た。マクワウリについてディルドリンなどの有機塩素剤の分布を調査した。ディルドリンとエンドリンは種子が最も高く(0.04ppm),可食部が最も低い値(0.028ppm)を示した。p,p'-DDTは果皮部が高く(0.051ppm), 種子が低い値(0.018ppm)を示した。マクワウリのディルドリン残留量は,そのADIに対して小さい値とは言 えないので今後の食品中の残留農薬のモニタリングで注意を払う必要のある農 薬である(85)。

 お茶は嗜好品として多くの日本人が毎日摂取している。一方,お茶は病害虫の防除のために多様な農薬を用いている。茶は形態的に散布された農薬が付着し易い。市販のお茶を分析したところ有機りん剤のMEP,EPN,イソキサチオンの検出頻度が高かった。CVP,イソキサチオン,プロチオホスが1ppmを越えて残留していた。イソキサチオンとプロチオホスは熱湯による浸出率が低いため飲用上の問題はなかった。全体としては茶葉中の有機りん剤の残留レベルは低かった(47)。

 市販されている野菜,果物について残留農薬のモニタリングを行った結果,ホサロン,プロチオホス,メチダチオンは比較的残留濃度が高く,時として登録保留基準をに接近する値が検出された。葉菜類のではレタスでメチダチオンが登録保留基準の10倍の値を示したことがあった。フキのフェントエート,セロリーのクロルピリホスメチルは登録保留基準を大幅に超過している例があった(86)。

 作物に残留する農薬は,洗浄することによりある程度除去することができる。除去率は作物の表面の様子と付着した農薬の種類により異なる。例えば,トマトのTPN,オキシン銅,ダイコンの葉のキャプタンは落ちやすい(10,86)。ブドウのDEP,マラソンは除去率が20%強で比較的落ちにくい。また,トウガラシ,ピーマン類の洗浄及び加熱によるビンクロゾリンの除去は,水洗では17%,茹でたり炒めたりすると50%近く除去できた。ブドウ果粒中の有機りん剤の残留分布は,マラソンの場合は果皮に100%残るが,DEP,DDVPはそれぞれ果皮に40%,30%が果肉に60, 70%が残留していた。したがって,DEPとDDVPは洗浄による除去は期待できない。これらの有機りん剤が残留しているブドウを用いてブドウ製品中の残留濃度を測定した。原料ブドウ中の残留濃度を100とした時の製品中の残留濃度を測定した。移行率は濃縮ジュースでマラソン,DEP,DDVPは0.35, 26.1, 13.2%, 干しブドウで4.5, 27.4, 4.3%, ぶどう酒では9.0, 107.5, 206.4%であった(10)。

 輸入の穀物では貯穀害虫の駆除のために有機りん剤を使用する例がある。輸入の穀物を調査したところ小麦33検体中30検体からマラソンが0.01-2.3ppm, MEPが0.02-3.0ppm, クロルピリホスがnd-0.40ppm検出された。大麦,トウモロコシ,大豆からも頻度と濃度の差はあるがこれらの有機りん剤を検出した。なお,ソバからは検出しなかった。マラソンについて小麦の製粉過程での残存量を調査したところ87%がふすまなどとして除去された。小麦粉への移行率は0.9-4.5%であった(48)。

                   (農業環境技術研究所 石井康雄)

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