ニンジンのシミ症の発生要因解明と防止対策

<引用文献> 長崎県総合農林試験場研究報告(農業部門) 17:23-42 (1989) [PDF]

摘 要
 長崎県で発生するシミ症のうちホヤケについて,現地実態調査,現地試験を実施し,発生要因および防止対策について検討した。
1) ホヤケはニンジン根部表皮が黒ずみホヤケ状になる。症状部位を切断してみると,黒ずんだ部分は表皮直下より内側に数ミリが水浸状を呈している。切片な顕微鏡で観察すると,暗褐色の沈積物が認められる。
2) ホヤケは,ニンジン栽培期間の根の肥大・充実期に降水量が少ない年に発生が多い。このような年のニンジン畑の土壌水分はpF3.0以上と乾燥状態が続いた。
3) ニンジン根中の無機成分含量を比較すると,ホヤケは健全より加里,石灰,苦土,ホウ素が明らかに低かった。石灰/ホウ素のモル比は健全が50前後であるのに対し,ホヤケの症状が激しくなると100~200を示した。ホヤケが発生するニンジン根中のホウ素含量の下限値は10ppm程度であろうと思われた。
4) ニンジン畑土壌が著しく乾燥した場合,根の肥大・充実期に0.2%ホウ砂液10a当たり100lを葉面散布するとホヤケの発生は軽減できた。
5) ホウ素資材および有機物の施用は,土壌中の熱水可溶性ホウ素含量を1.0~1.5ppmまで高めており,これらの対策も,ホヤケ発生の軽減に効果があった。

メグロはニンジン乾腐病,嫌気性菌によるキャビティスポットの症状と類似しており,土壌病原菌による発生の可能性が高い。

参考:昭和63年度研究成果情報 九州地域(土壌肥料)
 「ニンジンのシミ症(ホヤケ)の発生要因と防止技術」 長崎県総合農林試験場


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