Sub:米国、020205、生鮮レタスの対日輸出促進
<要約>
生鮮レタスの対日輸出量拡大を狙い、米国連邦政府は日本政府との間で植物防疫検査方法改善に関わる交渉をすすめている。本交渉が順調に進めば、4月までに新たな検査体制が確立され、輸出量の大幅な拡大に繋がるものと期待されている。
<本文>
米国野菜業界にとって、日本は最も主要な輸出仕向け先のひとつである。日本市場へは、ブロッコリー、タマネギ、アスパラガス等が多数出荷されており、これらの品目においては、日本は世界屈指の輸出市場となっている。しかしながら、米国の最主要輸出野菜品目であるレタスに関しては、例外と言える状況にあり、2000年の対日生鮮レタス輸出量は6,800トン、600万ドル相当で、同年米国産生鮮レタス総輸出量の僅か2%であった。
生鮮レタスの対日輸出が他の野菜品目と比較して伸び悩んでいる一番の理由は、日本政府によって義務付けられた「世界一厳格な植物防疫検査」にあるとするのが、業界内一般の見方である。生鮮野菜は、入港地で実施される植防検査で害虫が発見されるケースが多く、害虫が発見された場合には、臭化メチルあるいは青酸による薫蒸なしには日本国内に持ち込めない規定となっている。ブロッコリー等の場合は、薫蒸処理を受けても品質の劣化が少ないが、レタスは薫蒸処理を施すことにより商品価値が著しく下がり、廃棄されるケースも多い。そのため、日米どちらの業者にとっても生鮮レタスの対日輸出はリスクが高いとの共通した認識があり、その結果、恒常的な商取り引き関係が形成されない、という構図になっている。
生鮮レタスの対日輸出はこのような状況下にあるが、米国連邦政府は生鮮レタスの輸出量を拡大させるため、日本政府による植物防疫検査方法改善を求める交渉をすすめている。これは、米国内の最主要レタス産地であるカリフォルニア州モントレー郡内のレタス生産者らの強力な働きかけによって実現したもので、米国内産地を出荷する時点で日本の植防官による最終検査を実施することにより、損害の発生を未然に防止し、より収益性の高い輸出システムを確立させようとする任意事業である。本プログラムの原案は、現在、連邦農務省担当官によって作成の過程にあり、近日中に日本政府に正式提案する予定となっている。本案に関しては、すでに日本政府から前向きに取り組むとの意向が取り付けられていることから、モントレー郡内での収穫が開始される4月までに実施となることが期待されている。
大規模生産に基づく周年供給体制が設立された米国産生鮮レタスは、品質、価格双方の面での競合性に優れ、薫蒸の壁さえ克服されれば、日本市場でより広く受け入れられる商材となる、というのが関係者の多くに一致した見解である。今後日本が1億ドルの生鮮レタス市場へと成長する潜在性は極めて高いと推測されている。
資料:"Japanese inspectors may ease lettuce exports from California" Ag Alert. Vol. 29, No. 3. January 23, 2002. p. 19. その他。