エダマメの栄養障害特徴

引用文献: 肉眼観察による作物の栄養診断技術−エダマメの栄養障害特徴− (PDF)
  清水 武・木村良仁 (1987) 日本土壌肥料学雑誌 58(2):226-229

各要素の障害症状の特徴

窒素欠乏症状〕: 水耕では根粒菌の着生がなかったため,葉色は下位葉から黄変しはじめ,漸次上位葉へと黄変化が進んだ.やがて全体が黄変化し,生育は不良となった. 一方,圃場では,開花前に窒素施用栽培と窒素無施用栽培の葉の状態を比較すると,窒素無施用栽培の葉は小型化し,葉色は淡緑化して,生育は劣ったが,根粒の着生数は窒素無施用区で多かった. 葉色や葉の大きさは生育後期には顕著な差異はみられなくなった.

リン欠乏症状〕: 窒素欠乏と同様に生育は不良となった.欠乏症状は下位葉から黄変したが窒素欠乏症ほど鮮明に黄変せず,全体に緑色が残った.

カリウム欠乏症状〕: 下位葉は外側に巻きやすく,葉脈間が黄変した.緑色の部分と黄色部分のコントラストが鮮やかであった.

カルシウム欠乏症状〕: 先端葉の葉脈間が淡緑〜黄変するとともに,子実形成が阻害された.

マグネシウム欠乏症状〕: 全体に葉色が淡くなり,下位葉の葉脈間が淡緑化するとともにネクロシスを発生した.

鉄欠乏症状〕: 上位葉は葉脈の緑色を残し網目状の模様を呈したり,上位葉の全体が鮮やかに黄変した.

マンガン欠乏症状〕: 上位葉の葉脈間が黄変〜淡緑色を呈するが,葉脈に沿って緑色が残った.

ホウ素欠乏症状〕: 先端部の生育が阻害され,根は側根が十分に伸長せず,タコ足状となった.また,茎葉部は硬くてもろくなり折れやすくなった.

マンガン過剰症状〕: 下位葉の葉脈に沿って茶褐色の小斑点が発生した.上位葉も同様の障害症状を呈した が,ウイルス病にかかったような縮れが認められた.また,茎,葉柄部にも茶褐色の小斑点が発生した.

銅過剰症状〕: 亜鉛過剰症状と同様に,上位葉は鉄欠乏症状を示すとともに,根部は障害をうけ,根は太く側根の伸長が抑制された.

亜鉛過剰症状〕: 上位葉は亜鉛過剰による鉄欠乏症状を示したが,中位葉の表の葉脈は褐変化する部分が多く認められた.

ホウ素過剰症状〕: 障害症状は下位葉の葉脈間から茶褐色の不整形斑点を生じ,漸次上位葉へと障害が進んだ.

[野菜生理障害事例データベース]