イネ 黄萎病 (Yellow dwarf)

病原:Phytoplasma (Mycoplasmalike organism)

病徴:分げつ期ごろから新葉から黄化し始め,のちに全葉が黄緑色ないし黄色となる。草丈は低く,分げつ数が多く,株全体が黄化・萎縮症状を示す。分げつ期に発病すると出穂しない。
出穂期ごろに発病すると,黄白色の異常分げつを生じ,穂はですくみとなり,出穂しても不稔になることが多い。

伝染:第1次伝染源:秋に羅病イネあるいは羅病イネから再生したヒコバエを吸汁して保毒したツマグロヨコバイ。秋に感染したスズメテッポウが第1次伝染源になることもある。
保毒したツマグロヨコバイは,幼虫態で水田や畦畔の雑草内で生息・越冬し,翌春3月ごろから羽化して第1回成虫となる。これが苗代や本田のイネに移動して病原を媒介し第1次感染が起きる。
感染したイネは幼苗期感染では3カ月,分げつ期以降の感染では約1カ月の潜伏期間を経て発病する。第一次伝染によって発病したイネを吸汁した第2世代幼虫および第3回成虫が健全イネへ移動し,吸汁して第2次伝染を起こす。
早期・早植栽培で発生が多く,被害も激しくなる。気温が高い場合には潜伏期間が短く,発病も激しくなる。

防除:耕種的防除法は,早朝・早植栽培地帯で多発するので栽培時期を普通期に切り替える。 また,前年の罹病株が伝染源となるので罹病株は抜き取り,耕起を早めヒコバエの枯死を図る。本病は,ツマグロヨコバイにより伝染するので,薬剤防除は殺虫剤によるツマグロヨコバイに有効な薬剤を使用する。

参考: イネ(稲)黄萎病 - 日本植物病名データベース

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