コムギ 赤さび病

病原:Puccinia recondita Roberge ex Desmazieres
病徴:生育期間を通じ葉身を主体に葉鞘,稈,ふに発病する。秋播コムギでは秋季発生して越冬し,早春(4月末〜5月上旬)より再び発病し,止葉抽出期頃から病勢が激しくなる。 はじめ葉身の表面に赤褐色,楕円形のもり上がった病斑(夏胞子層)を散生,夏胞子層の表面が破れ中から淡褐色の粉末(夏胞子)を飛散する。 成熟期近くになると夏胞子層の周辺部の表皮下に暗黒色でややもり上がった長楕円形の病斑(冬胞子層)が形成される。冬胞子層の表皮は破れることがない。
伝染:ムギ収穫後のこぼれムギやひこばえの葉身上に形成された夏胞子層が越夏し,その夏胞子が秋播コムギの葉身上に飛散して秋季発生(夏胞子層を形成)し,翌春の第一次発生源となる。 また本菌は異種寄生性で中間寄主アキカラマツ葉上の精子とさび胞子を形成し,さび胞子が伝染源となる。夏胞子の飛散は高温多照で促進され,夜間よりも日中に多い。高温多照は発病まん延を助長する。 窒素肥料の多施用は発病を助長し,リン酸やカリ肥料の多施用は発病を抑制する。
防除:収穫後こぼれムギやひこばえの発生を抑制し,本菌の秋季発生源を断ち切る。窒素肥料の多施用をさけ,リン酸やカリ肥料を十分に施用する。秋季の極端な早播きはさけ,適期播種に努める。 発病初期から水和硫黄剤,バイレトン粉・水和剤,バシタック粉・水和剤,モンカット粉剤,チルト乳剤を散布する。

参考: 日本植物病名データベース