イネ 縞葉枯病

病原:Rice stripe virus
病徴:田植後しばらくしてから発病し始め登熟後期まで続く。分げつ初期に発病すると,抽出中の葉は黄緑色ないし黄白色になり,こよりのように巻いて徒長し,曲がって垂れ下がる。この症状から本病は一名「ゆうれい病」とも呼ばれる。 このような株は出穂することなく枯死する。遅れて感染すると,新葉の葉脈に沿って黄緑色ないし黄白色の縞状の斑紋を生じ,激しくなると全体が黄化する。罹病株は草丈が低く,分げつ数も少なく,全体に萎縮症状を示し,のちに枯死する。 出穂した穂は葉鞘から抜けきらず,奇形あるいは不稔になる。早期および早植栽培でとくに発病が激しい。
伝染:第1次伝染源:前年の秋羅病イネを吸汁し,ウイルスを獲得したヒメトビウンカの幼虫。第2次伝染:ヒメトビウンカの越冬幼虫は3月上・中旬に羽化して第1回成虫となり,この卵からふ化した幼虫が第2回成虫となり,水田へ飛び込んでイネにウイルスを媒介する。 ヒメトビウンカは羅病イネを吸汁し,普通1週間ぐらいの虫体内潜伏期間を経てから,健全イネへウイルスを媒介できるようになる。保毒虫密度が高くなるにつれて発病率が高くなる。早期あるいは早植栽培で多発する。 多窒素はヒメトビウンカの生息密度を高くするとともに,イネの感受性を高める。
防除:防除は媒介昆虫であるヒメトビウンカの防除が基本となる。耕種的防除は,抵抗性品種の導入,作期の移動,畦畔雑草の除去がある。 薬剤防除は,媒介昆虫であるヒメトビウンカを対象に行う。移植直前の育苗箱施薬は,アドバンテージ粒剤,オンコル粒剤,カヤフォス粒剤,アドマイヤー箱粒剤が有効である。 散布剤は,アプロードバッサ粉剤,アドマイヤー粉剤,同粒剤,エルサン粉剤,オフナックM粉剤,オフナックバッサ粉剤,同乳剤,スミバッサ粉剤,スミチオン乳剤,ダイアジノン粒剤,ツマサイド粉剤,同乳剤,ディプテレックッス乳剤などが有効である。

参考: 日本植物病名データベース