病原:Rice black-streaked dwarf virus
病徴:分げつ最盛期ごろになると株全体が萎縮し,葉の裏側,葉鞘の表面に葉脈が盛り上がり,水腫状の細い条斑が現れる。条斑の長さは普通2〜3mmであるが,稈では1cmぐらい,色はろう白色ないし黒褐色。罹病株では葉色が濃くなる。
葉はねじれてしわができ,内側に巻くものがある。早い時期に感染した株は萎縮してほとんど出穂しない。遅い時期の感染株では穂は出すくみ状態になることが多く,出穂しても不稔になる。
伝染:第1次伝染源:感染あるいは発病したイネを秋吸汁したヒメトビウンカの第3,4世代幼虫は麦類へウイルスを伝搬する。第2次伝染:ウイルスを獲得した虫は7〜21日間の潜伏期間を経たのち,イネへの媒介が可能となる。
イネは分げつ最盛期(主稈の12葉期)までは感受性であるが,その後は感染しにくくなる。潜伏期間:苗代期感染では約20日,分げつ初期の感染では約25日,分げつ最盛期の感染では約25〜30日。
早期に感染・発病したイネを吸汁した第2世代幼虫,第3回成虫による2次伝染が起こるが感染しても被害は小さい。早期あるいは早植栽培で多発する。イネの感受性は分げつ初期にもっとも高い。
防除:防除は媒介昆虫であるヒメトビウンカの防除が基本となるため,イネ縞葉枯病の防除と同時防除となる。耕種的防除は,作期の移動,畦畔雑草の除去がある。
薬剤防除は,媒介昆虫であるヒメトビウンカを対象に行う。移植直前の育苗箱施薬は,アドバンテージ粒剤,オンコル粒剤,カヤフォス粒剤,アドマイヤー箱粒剤が有効である。
散布剤は,アプロードバッサ粉剤,アドマイヤー粉剤,同粒剤,エルサン粉剤,オフナックM粉剤,オフナックバッサ粉剤,同乳剤,スミバッサ粉剤,スミチオン乳剤,ダイアジノン粒剤,ツマサイド粉剤,同乳剤,ディプレックス乳剤などが有効である。
参考:
日本植物病名データベース