(社)全国農林統計協会連合会編 「農業日誌 平成14年」 396-397

ナシの病害管理におけるITの活用

 ナシの生産では、病害が発生すると果実品質が著しく低下するため年間十数回の殺菌剤散布が行われてきました。しかし環境に配慮した生産が求められる中、散布回数の低減が重要な課題となっています。そこで、ナシの病害管理技術や防除適期などの情報をいち早く生産現場に伝達する手段として、最近急速に普及してきたインターネットなどの情報通信技術(IT)に着目し、ナシ病害管理情報提供システムの開発に取り組みました。

(1)気象情報と連携した病害発生予察システム
 気象条件をもとに病害(特にナシ黒星病)の発生程度を予測するプログラムを作成し、ネットワークを介して全国の気象データと組み合わせてそれを実行できるシステムを開発しました。このシステムにより地域に対応した病害発生予察情報が得られ、防除を行う時期の判断に利用できます。なおデモ版はインターネットで公開されており誰でも利用可能です。現在、生産現場での本格的な活用に向けてシステムの検証と改良を進めています。

(2)ナシ病害管理の知識データベース
 ナシ黒星病・輪紋病の時期に応じた発生生態と防除方法、そしてナシ病害の専門家の指導により病害管理知識の記述を取りまとめ、データベース化しました(協力:千葉県農業試験場)。これらの知識データはホームページ上で検索できます。

(3)ナシに関する情報交換の掲示板
 ナシの生産、そして普及、研究に携わる人の情報交流を図るために、インターネット掲示板を開設しました。ナシ生産に関することであれば誰でも自由に書き込みできます。

 以上、紹介しましたプログラムやデータベースは次のホームページから利用できます。皆様からの情報提供もお待ちしています。

 「ナシの試験研究情報サイト」 http://riss.narc.affrc.go.jp/nashi/

(中央農業総合研究センター 菅原 幸治

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