タバコの灰を肥料にすることと
TMV感染の危険性について

 「タバコの灰はよい肥料になる」という話(噂)は、けっこう園芸家の間で広まっているようです。
タバコに限らず植物体を燃やした灰(草木灰)にはカリウム、マグネシウム、カルシウムなどの成分が比較的高い割合で含まれているので、確かに焼畑農業のように、灰を土に入れれば「肥料になる」といえます。
もちろん灰には窒素成分があまり含まれておらず、肥料としてそれだけやっていれば植物が大きくなるようなものではないため、あえていえばカリ肥料や苦土石灰のような使い方になるでしょう。

 さて、以前に「作物病害虫・生理障害掲示板」の#013(2000.10)の記事として、
タバコの葉は タバコモザイクウイルス(TMV) に感染していることがあるので、タバコの灰に葉の燃え残りが混ざっていると、それを肥料として土に入れた場合に土がTMVに汚染される可能性がある、と書きました。
 このことについてその後、植物病理学の専門家から話を聞きましたので、その要点を掲載します。

 家庭園芸では、タバコの灰(中の燃え残り)を通してTMVの感染が起こる危険性があるとすれば、主にナス科で主要な野菜以外の植物、例えばペチュニア、ダチュラ、ハナタバコなどを栽培する場合でしょう。
それ以外の場合は心配するほどではないかもしれませんが、TMV感染防止の対策としては、灰を土に入れる前に再度火を通しておくとか、透明のビニール袋に入れて(土と一緒でもいい)数週間ほど太陽熱消毒するとかになります。
 以上、タバコ灰の利用については、あくまでご自身の判断で行ってください

 その他に関連する情報がありましたら、農研機構・菅原(sugak@naro.affrc.go.jp)までご連絡いただけるとありがたいです。さらに情報が入りましたら、このページに掲載いたします。

<関連資料>


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